県の事業を活用してガイドブック(観光パンフレット)を発行したチーム西方の昌谷榮四郎代表(右)と、作成に取り組んだ伊藤香苗さん
町営キャンプ場の「西古見GATE(ゲート)」、廃校となった学校の校舎を利活用した農泊推進施設「あらとんとんの館」と新たな拠点の誕生、さらに奄美群島で初めてのハウスによる本格的なイチゴ栽培といった話題性から来訪者が増えているという瀬戸内町西方(にしかた)エリア。山と海に抱かれながら、今も人の暮らしがゆっくりと静かに息づいている「奄美の奥深さに触れる入り口」として情報発信していこうと、ガイドブック(観光パンフレット)が作成された。来月にはWebサイトも立ち上がる。同サイトで事前に調べ、実際に訪れてパンフで集落巡りを楽しむ相乗効果を発揮しそう。
ガイドブック作成は西古見GATEと、あらとんとんの館指定管理者・一般社団法人チーム西方(昌谷(しょうや)榮四郎代表)が連携して取り組んだ。県の事業(地域課題の解決に向けた協働推進事業)を活用したことから、発行はチーム西方と県大島支庁瀬戸内事務所。
チーム西方理事で、あらとんとんの館事務担当の伊藤香苗(かなえ)さん(41)によると、西方エリアの魅力発掘・整理・発信プロジェクトとして進めた。人口・過疎化の進行(少子高齢化が深刻で、各集落の世帯数は最少3世帯・人口7人という状況まで減少。地域の担い手が不足)、情報発信ツールの欠如(旅行前に確認できるWebサイトや当日使えるパンフが存在しない)、拠点間の連携が希薄(ばらばらに存在。エリア全体で動く仕組みが希薄)といった課題を抱えた中、西方の魅力を発信するツール、受け入れ側の連携体制、来訪者と地域をつなぐ仕組みづくりを目指した。
マップにとどまらず情報発信にあたっては各集落の住民に歴史、文化、自然などの情報について聞き取り調査を実施。地域と協働でまとめた資料集作成(インタープリテーション)とした。パンフのイラストも担当した伊藤さんは「6集落のお年寄りからお話を聞いた。現在と異なり道路が未整備で定期船が暮らしの一部だった時代、山を越えて宇検村の集落と交流があった時代など驚きの連続だった」と振り返る。
パンフは5000部完成。各集落、島内の商業施設、宿泊施設に配布する。Webサイト「にしかためぐり」は制作途中で、4月上旬には仕上がる。「あいさつをしよう」「車はゆっくり運転」「音に気をつけよう」「私有地には立ち入らない」「ごみは持ち帰ろう」といった集落ルールを掲載したパンフでは、篠川、古志、久慈、花天、管鈍、西古見6集落それぞれの世帯数や人口、特色を語り手となった住民のイラストも添えて紹介。1~3日に分けてそれぞれ滞在する場合のプランもマップ、集落間の所要時間、見所を写真も添付して提案している。QRコードで読み取ってのWeb版もあり便利だ。
「事前確認はWebを、来訪してからはガイドブックのパンフを活用し西方エリアを楽しんでいただきたい。また、実際に活用したことで思うこと、意見も寄せてもらえれば今後の情報発信に生かしたい」と伊藤さん。昌谷代表(69)は「昔は西方は、交通の不便さから陸の孤島と呼ばれた。訪れる人は釣り客ぐらいだった。最近は国の史跡となった戦争遺跡、新しい拠点の誕生、そして完熟品が味わえるとしてイチゴ栽培が大きな話題となり人の流れを感じる。今回の取り組みでさらに活気づくのではないか」と期待している。チーム西方の問い合わせ先は電話0997・76・3373。

