奄美大島で島外部隊が演習

地対空ミサイルの動作要領を報道公開した(奄美市笠利町訓練地内)

射程が異なるミサイル公開
陸自西部方面隊

 陸上自衛隊西部方面隊は10月21日から、九州・沖縄地方での大規模訓練「2019年度実動演習(01鎮西演習)」を展開している。8日は、奄美大島島外から派遣された部隊の合同訓練と地対空ミサイルなど装備の一部を報道陣に公開。各隊は迅速な作戦行動を展開した。

 同演習は8県全域で行う大規模なもの。島嶼=しょ=部侵攻への対処を目的に実施され、今回は隊員約1万7千人、車両約4500台(戦車や戦闘車を含む)、支援ヘリコプターなど航空機30機が出動している。期間は今月22日まで。

 奄美市笠利町の訓練地(旧奄美空港跡地)では、第3高射特科群第344高射中隊(奄美市駐屯)、高射教導隊(千葉県千葉市駐屯)、第5高射特科中隊(北海道帯広市駐屯)が今月4日から合同訓練を実施。規模は人員約50人、約30車両に上る。

 報道陣を前に、この日は戦闘爆撃機など航空機や巡航ミサイルへの対処を任務とする射程の異なる三つの地対空ミサイル(近・短・中SAM)の動作要領のほか、低空・対空監視レーダ装備を公開。実際にミサイル発射機を立ち上げ、目標の捜索を行うレーダの機動を行った。

 第2高射特科団広報によると、3部隊合同訓練はこれまで例がなく、「複数のミサイル運用部隊による作戦上の連携や運用、即応展開の確認が狙い。住民の理解を深めていただく意味もある」(広報担当)とした。

 平澤大介・第5高射特科中隊長=三等陸佐=は「各部隊の連携が確認できた」と訓練を総括。その上で「近年の情勢への対応を踏まえ錬度向上は重要。あらゆる事態に対処できるよう、継続的な訓練につとめたい」と述べた。

 奄美大島には11月に入り各種部隊が来島している。同島を含め、奄美群島4島では警備や通信など各種訓練を展開中。