けがを負い治療が施されたアマミノクロウサギ(環境省提供)
傷病救護の実績(環境省ホームページから奄美新聞社で作成)
環境省沖縄奄美自然環境事務所と大和村、奄美大島・徳之島の3動物病院(施設)など6機関は1日、「アマミノクロウサギの傷病救護及び普及啓発等の推進に関する連携協定書」を締結した。協定締結によって、各組織の役割分担や個体の所有権などの取り扱いを明文化し、救護体制や保全へ向けた普及啓発への取り組みを継続的に確保する。
協定は、2022年に奄美群島国立公園管理事務所が定めた「傷病保護個体の取り扱い方針」を基に、救護・治療・野生復帰・保全のための普及啓発・生体展示などで連携し協力するもの。
締結したのは、環境省、同村、鹿児島市(平川動物公園)、奄美いんまや動物病院(龍郷町)、奄美野生動物医学センター(奄美市)、徳之島動物病院(徳之島町)の6機関。
3病院(施設)は、救護個体の治療・リハビリを主に行い、同医学センターは回収の補助業務も併せて行う。
飼育研究施設「アマミノクロウサギミュ―ジアムQuruGuru」を開設する大和村と、平川動物公園では終生飼養と生態展示を行う。環境省は、各施設への移送管理、救護要因や死因の情報整理・分析などを担う。
協定書によると、治療・リハビリ中の所有権は環境省に帰属。野生復帰が困難となった終生飼養個体については、施設への移転手続き(種の保存法・文化財保護法に基づく)が必要と明記した。生体展示場所は、奄美群島内が基本となる。
絶滅危惧ⅠB類に指定されているアマミノクロウサギは、特定外来生物フイリマングースの根絶(24年9月)や森林の回復に伴い、生息数・生息域ともに回復している。
環境省が実施した21年の個体数調査では、奄美大島で最大約3万4千匹、徳之島で最大約4700匹と推計。一方、イヌ・ネコによる捕食は一定数あり、交通事故は奄美大島で年間100件以上、徳之島で同25件以上が確認されている。
傷病救護件数も増加傾向にあり、これまでは地元の動物病院が治療を行い、野生に戻す取り組みが行われてきた。野生復帰が難しい個体は、島内に継続的に飼養できる施設がなかったため、鹿児島市の平川動物公園に移送するしかなかった。
今回の協定締結により、保護・治療・野生復帰または終生飼養が島内で完結できる体制が整った。環境省によると、治療・リハビリや生態展示については、6機関の協議により増設される可能性もあるという。

