奄美市 医師らが懇話会

医師10人が奄美市域の将来的な医療課題を話し合った懇話会(16日、奄美市役所)

持続可能な医療体制確立へ

 

事業承継・経営課題など議論
16~24年 15の診療所閉院

奄美市域の持続可能な医療の在り方について議論する「第1回奄美市医療懇話会」が16日夜、奄美市役所であった。市内の病院・診療所の医師や関係者など23人が参加。閉院が相次ぐ市域の医療提供体制の課題を話し合った。懇話会は今年度中に全3回実施予定。将来的な事業承継の見通しや、経営上の課題を確認し、持続可能な医療提供体制の確立を目指す。

同市国保年金課によると、市内の医療機関は2024年4月1日現在、46(病院7、診療所39)ある。経営者(医師)の高齢化などの理由で、21年頃から個人病院の閉院が相次ぎ、16~24年に15の診療所が閉院した。

同市は、23年度に実施したアンケート結果から、「多くの市民が今後の医療に対して不安を抱いている」状況にあるとして、25年4月1日付で保健福祉部内に「医療懇話会」を設置。市内の公立病院、民間病院、大島郡医師会、名瀬保健所などの協力を得て初回の会合を持った。

座長の安田壮平奄美市長が医師10人を委員に委嘱。会は、相星壮吾名瀬保健所長(医師)が進行役となり、各委員に現状の課題について意見を求めた。

益田正隆委員(益田泌尿器科院長)は事業承継について、「高齢(74歳)でもあり不安はある。自治体には、現在の医療体制を保てるような支援をお願いしたい」と発言。

稲源一郎委員(大島郡医師会会長、稲医院院長)は「中学校区ごとに一つの診療所を作るのが望ましい」などと私案を示した。

野﨑義弘委員(住用国保診療所院長)は「〝赤ひげ先生〟(献身的に地域医療にあたる医師)の時代ではない。継続性を考えると、グループ診療の形を整えるべき」と訴えた。

平島修委員(名瀬徳洲会病院副院長)は、「プライマリーケア(かかりつけ医)としての小児科・耳鼻科が必要」、平元良英委員(奄美中央病院院長)は、人件費や医療資材の高騰で23年から赤字経営になっている現状を説明、奄美看護福祉専門学校の入学者が減少していることにも懸念を示した。

複数の委員が挙げたのは、各病院や市域で提供できる医療の質の問題(医療の利用可能性)。

森田喜紀委員(県立大島病院総合診療科部長)は、島内で受けられる医療について行政との連携による冊子作成などの情報発信を求めた。

安田市長は「各病院の課題や問題意識について共有する機会となった。医療をよりよく維持できるよう中長期の施策に落とし込んでいきたい」と述べた。

事務局は今後、市内各医療機関へのアンケートを実施、▽将来的な経営の考え方▽医療提供体制▽経営上の課題―などを把握し、次回以降の懇話会で解決策を話し合う。

メモ

「診療所」…入院施設19床以下の医療機関。「医院」「診療所」「クリニック」など。