初の官民合同の山岳救助訓練

徳之島地区消防組合・徳之島署・NPO法人徳之島虹の会・エコツアーガイドなど官民一体で初実施の「山岳救助合同訓練」=28日、伊仙町「犬田布岳」

徳之島で 行方不明事案相次ぎ
危険箇所把握や連携強化

 【徳之島】世界自然遺産エリアなどで行方不明者の発生が相次いでいることを受け、徳之島地区消防組合(上木浩仁消防長)は28日、警察やエコツアーガイドなど総勢52人が参加した初の山岳救助合同訓練を伊仙町の犬田布岳(標高417㍍)で実施した。頂上付近での滑落・負傷者発生を想定し、二つの登山ルートから救助に向かう総合訓練で連携を深めた。

 今年、同島内では天城岳(天城町)や井之川岳(徳之島町)周辺で島外からの自然観察客が行方不明となる事案が2件発生。いずれも携帯電話の電波が届く範囲だったため、GPSで位置を特定し救助できたが、山岳遭難リスクの高まりを受け、今回の訓練は消防と警察に加え、NPO法人徳之島虹の会や認定エコツアーガイドら民間が参加する初の枠組みで実施された。

 午前9時半、伊仙町八重竿(やえぞう)の公園で開会式が行われ、上木消防長は「世界自然遺産登録後、登山経験の乏しい入域者が増えている。隊員自身も 〝素人〟の姿勢で学ぶことが重要だ」と訓示。地理把握や通信状況の確認、救助技術の向上、官民一体の救助体制の確立など訓練目標を共有した。

 参加者たちは八重竿側(頂上往復4・5㌔)と天城町西阿木名側(同5・5㌔)の2ルート(班)に分かれて出発。ガイドの助言を受け希少植物の踏圧を避けながら進み、600㍍ごとに通信状況なども確認。急こう配の登山道を経て頂上に集結した後、滑落事故を想定した引き上げ救助訓練を実施した。要救助者役と担架搬送を交代しながら約5時間後、それぞれの登山口へ全員が無事下山した。

 意見交換では、統一感のないハブに咬まれた場合の対応を巡り「止血や吸い出しは行わず、速やかな搬送が最重要」と消防側が助言。山中でのヘリ搬送については「(空から)50㌢の空間があれば可能だが、木の枝にワイヤーが掛かると困難」との見解も示された。

 初の合同参加となった徳之島エコツアーガイド連絡協議会(会員約35人)の寛山一郎会長(55)は「以前から訓練の必要性を感じていた。過去の事故を踏まえても、警察や消防との連携は不可欠。今後も情報共有を続けたい」と感謝していた。