知名町長選挙振り返る

今井氏が3選果たす
脱炭素事業が争点に 新人の批判に 真っ向反論、大差で退ける

 【沖永良部】一騎打ちとなった8年ぶりの知名町長選挙は、現職の今井力夫氏(68)が、新人で農業の竹林植元氏(75)を破り、3期目の当選を果たした。町が進める脱炭素事業を争点に、「時期尚早」と批判する新人に対し、現職は「世界的な視点で考えてほしい」と真っ向から反論、大差で退けた。

 前回に続き無風と見られていたが一転し、選挙戦となった。竹林氏は「脱炭素事業について疑問に思うことがある」と立候補の理由を述べ、「太陽光発電の設置に多額の税金が使われている。その予算を町民に使うべき」と主張。農業振興や商店街の活性化、情報開示の徹底などを公約に掲げた。

 選挙期間中は、公約をまとめたチラシを手配りし、集落公民館で個人演説会を開くなど草の根運動を展開したが、選挙戦が迫った10月に立候補を表明するなど準備不足が響いた。

 脱炭素事業における新人の批判に対し、今井氏は「国が地方にお金をばらまける時代ではない。自分たちで稼げる町、経済的に自立できる町でなくてはいけない。この事業は、二酸化炭素を出さないというだけではない。経済的に自立できる町をつくるために必要だ。世界的な視点で、地元で何ができるのか考えてほしい」と訴え、国の第1回脱炭素先行地域に選ばれたことのメリットを強調した。

 新庁舎と旧庁舎の1年間の電気代を比較すると、2023年度の旧庁舎の電気代が567万円。昨年5月から運用を開始し、太陽光発電や蓄電池、エコボイドなど再エネ・省エネ設備を導入した新庁舎は11か月分で527万円だった。同町総務課によると、インフレや燃料費の高騰を考慮すれば、脱炭素事業によって200~300万円ほどの削減効果があったと試算する。今井氏は、電気代の削減分を町民福祉に充てる考えだ。現在、学校や集落内の照明のLED化も進んでおり、事業による効果はさらに大きくなるだろう。

 脱炭素とともに進行中のプロジェクトが水道水の硬度低減化。今井氏にとって、初当選した8年前からの念願だった。

 この事業の重要性は脱炭素と同じく「島の外に無駄なお金を出さないため」と説明する。地下水に多く含まれた石灰成分は、水道機器の故障や配管の詰まりの原因となる。修理に加え、軟水器や飲料水の購入にかかる費用は、町民や行政にとって大きな負担であり、かかった費用のほとんどが島外へ流れてしまう。「衣食住の最たるものが水。外に出ていたお金が残り、そのお金が島の経済を回していく」と呼び掛けた。現在建設中の硬度低減化施設は、27年度の運用開始を見込んでいる。このほか、旧庁舎を活用した複合施設の整備や子育て支援の拡充、若者の起業支援を公約に挙げた。

 「住みやすい町、元気があって活力があって、いつまでも長生きする持続可能な知名町を共につくろう」と声を張り上げ、5日間の選挙戦を締めくくった今井氏。人口減少が進む中、これまでの取り組みがどのような形で花開き、どのような挑戦を続けていくのか。3期目に向け、町民の期待は大きい。
 (逆瀬川弘次)