鹿大シンポ

高校生も参加し行われたシンポジウム(14日、奄美市名瀬の鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室)

「奄美群島をスタートアップの拠点に」
多様性(生物・文化)と経済を融合
革新的モデル構築へ

 奄美群島の生物・文化の多様性を保全し、地域資源として持続的に利活用する新たなモデルの創出を目指している「鹿児島大学ミッション実現戦略分プロジェクト」が主催する2025年度シンポジウム「奄美群島における〝生物文化多様性〟と〝地方創生〟」が14日、奄美市名瀬の同大国際島嶼教育研究センター奄美分室であった。水産学・農学・経営学など多彩な分野の研究者7人が登壇し、二つのテーマを融合させた革新的モデルの構築を目指した。約100人(オンライン含む)が聴講した。

 プロジェクトは、同センターと理工学研究科が主体となり、22年度から6年間かけて取り組む全学的な研究。多様性保全部会4班(陸上植物、陸上動物、水圏、地域研究)で60人以上の教員、研究者が参加、奄美群島全域で学際的な研究と人材育成を行っている。

 講演は2部構成。生物多様性分野では、▽ミドリイシ属サンゴの多種同調産卵(一斉産卵)におけるバンドル(精子と卵の塊)の割れ方▽エコトーン(移行帯)としてのマングローブの生態系▽吸血ブユが媒介する病原体▽ボタンボウフウ(長命草)の窒素固定の謎―について、同大の教授らが研究発表した。

 地方創生分野では、同大発ベンチャー、㈱ZIFISH(ジフィッシュ)が開発したAIスマート計量システムによる「水産物流通DX(デジタルトランスフォーメーション)」の取り組みを水産学部の江幡恵吾准教授(同社取締役CEO)が解説。

 計量器に魚を載せるだけで重さなどの情報をデジタル化しリアルタイム共有できるため、漁協の業務改善となり、将来的には気候変動に対応した資源管理につながると話した。

 北海道大学大学院理学研究院の高橋幸弘教授は、東北大学と共同で開発した「マイクロサット」(重さ50㌔級の超小型衛星)を使った奄美大島での森林観測システムの構築に着手したと報告。

 「奄美大島は、海洋ごみ・森林保全・カーボンクレジット(二酸化炭素の排出権取引)・農業(食糧確保)など地球規模の課題に取り組む最適の地」と話し、「いずれも1兆ドルを超す市場があるとされる。奄美から地球の課題を解決できる可能性がある」と提言した。

 同大大学院理工学研究科の小山佳一DXコネクトセンター長は「本大学は、奄美群島をスタートアップの拠点と考えている。他大学、世界との共同研究で奄美群島を発展させていきたい」と総括した。