奄美では初めての取り組みとなる中村さんのイチゴ施設栽培。無事に1年目の初収穫を迎えた
赤く熟した完熟品。鮮度の良さが魅力だ
瀬戸内町久慈集落に3連棟の鉄骨ハウスを設置し、奄美では前例のないイチゴ栽培が行われている。「紅ほっぺ」など6品種が栽培されており、今月20日から本格的な収穫期を迎えている。収穫の連続性が高く、5月の大型連休明けまで続く見通しで、地元産の完熟品は鮮度の良さが魅力だ。
イチゴ栽培に取り組んでいるのは中村和基(かずき)さん(35)。旧久慈小中学校の校舎跡などを利活用し整備された農泊推進型施設「あらとんとんの館」のすぐ隣りにハウスはあり、農園名は「Amami Rain(アマミ レイン)」。町内の直売所などでも販売しているが、新鮮なイチゴを摘み取り、その場で味わう観光農園としての運営を目指す中村さんは、「あらとんとの館」利用者の収穫体験も受け入れる。
自宅での試験栽培を経てハウス設置に取り組んだのが昨年6月頃。苗を植えるベンチ(鉢植えのプランターを、支柱を立てて載せている状態)、溶液タンク(肥料を混ぜてベンチに送る装置)を準備しての溶液栽培で、取り寄せた苗の定植が終了したのは同11月中旬。苗の成長を見ながら花の摘み取りなどの作業を行い、実が着いたのが年始に入って。地元の養蜂業者から取り寄せたハチ(6千匹)を使っての受粉を始めたのは1月中旬で、3か月続く。
果物ではなく野菜に分類されるイチゴ。中村さんによると一株から連続して5~6回は実が収穫できる見通し。紅ほっぺ以外の栽培品種は「ベリーポップすず」「よしぼし」「かおり野」「マロンベリー」「すずりん」で全てに実が着き赤く熟している。形がいいものを収穫しているが、6品種の食べ比べができる楽しみがある。
完熟品をパック詰め(4品種)にして250㌘800円(税込み)で直売。2品種を贈答用(1200~1500円)としている。中村さんは「大粒、甘いといった感想をいただいている。光合成を促進できたら、もっと甘さを向上できた」と語る。母親は同町花天(けてん)出身だが、中村さんは埼玉県で生まれ育ち、イチゴ栽培の研修も同県で重ねた。「太陽の光だけでなく二酸化炭素(CO2)、水のバランスによって光合成は促進される。気候など環境の変化が緩やかな埼玉に比べ、奄美は変化が急激で二酸化炭素が少ない状況もあった。冬場は6度ぐらいと夜温も適した状態が求められ、1~2月が一番おいしくできる時期。どうしたら品質をさらに高めることができるか改善を重ねていきたい」と中村さん。
葉に付着するハダニやアブラムシの多さ(弱い薬剤で繰り返し防除)といった温暖地特有の課題も抱えるものの、冬場の施設栽培では暖房費が大きな負担となっている本土に比べ無加温で栽培できるメリットがある。また溶液栽培のため水を多量に使うが、井戸水を使っているため、このコストも抑制できている。ハウスを設置しての本格的な栽培で奄美でもイチゴが収穫できることを中村さんは実証した。これまで不可能だった収穫したばかりの完熟品を奄美で提供できる道筋を立てたことになる。農園では加工用(スイーツなど)の販売にも応じる。問い合わせは、いちご農園Amami Rain070・7779・0015まで。インスタグラム(アカウントはAmami Rain15)で情報も公開している。

