奄美市笠利町土浜集落の県道沿いに開設された「くすだファーム」の直売所。交流の場、体験の場となっている

収穫されたばかりのハンダマ(スイゼンジナ)袋詰め作業の準備をする楠田哲さん
自然栽培による季節の有機野菜生産に取り組んでいる奄美市笠利町のくすだファーム(楠田哲代表)は、車両の通行量が多い奄美空港線の県道沿いに直売所を開設した。収穫したばかりの新鮮野菜の販売だけでなく、交流や体験、試食もできる場となっており、農家の暮らしや農業の楽しさを伝えていく。
土浜集落内で元々無人販売を行っていた場所。気温が上昇する夏場でも快適に過ごせるよう室内となるハウス(内装は木材を使った建物)を2基設置しており、全体の広さは約40平方㍍(12坪)。購入したハウス以外は楠田さん(57)の手作りで、木材やトタンなどで仕上げた。3か月かけ、3月5日に完成した。「くすだファーム」の手作り看板が目印。ハウス内では、若手唄者として知られる娘の莉子さんが三味線教室もしている。
旅行会社が間に入り島外からの修学旅行生や大学生などの訪問先、島内も中学生などが職場体験として訪れるなど「年間300人は受け入れている」という楠田さん。交流の場、体験の場、さらに「収穫したばかりの野菜をその場でサラダやみそ汁にして味わえる場を作りたかった」。プランターを使っての育苗はできるが、本格的な植え付けや収穫は歩いて5分程度と近い畑で。開設した場所では収穫した野菜を袋詰めするなど商品化に向けた作業が体験できる。
「サトウキビや畜産、果樹などは後継者など担い手が存在するが、野菜農家は高齢もあり減少している。一方で食の安全、伝統野菜、環境問題などから農業に関心を持つ若い世代が増えている。こうした世代の皆さんが訪ねて来て話を聞き、体験もしてくれる。交流によって奄美に住みたい、素晴らしい自然の中で田舎暮らしをしたいという声も聞く」。楠田さんが伝えるのは農家の暮らし、奄美の自然や文化との関わり、そして楽しさだ。「コロナ禍以降、ガーデニングがブームとなっている。園芸、作物づくりに興味を持つ人々が増えている。小規模でもブランド化できる可能性、個々の農家のキャラクターを知ってもらえたら。農業はたいへんと言われるが、どの仕事も共通することではないか。好きなことなら楽しい」
楠田さんの有機野菜は個人契約で販路を広げている。「新鮮、採れたて」といった鮮度の良さが評判。島内のレストランやカフェ、スーパーなどに卸しているほか、「お野菜セット」として購入する人も多い。奄美市内などに配達しているが、今後は開設された直売所で購入できる。毎週火曜日は休みで、午前11時~午後4時まで。問い合わせは、くすだファーム電話090・7984・1226。体験希望は予約が必要。

