現職、新人3の4人出馬か

尾辻秀久氏

合原千尋氏

前田終止氏

奥山雅貴氏

 

参院選・鹿児島 7月4日公示・21日投開票
構図固まり、選挙戦突入へ

政府は26日午前、臨時閣議で、夏の参院選の日程を7月4日公示・21日投開票と決定した。令和初の国政選挙。鹿児島選挙区(改選定数1)では、これまでに現職1人と、新人3人の計4人が立候補を表明。選挙戦では安部政権が進める経済政策の評価に加え、年金問題や消費税増税など将来を見据えた社会基盤の構築を争点にした舌戦が予想される。現職の対抗馬として保守系、野党統一候補が争う構図も注目を集めている。

 

鹿選挙区には自民党現職で元参院副議長の尾辻秀久氏(78)と、いずれも無所属新人で、野党統一候補の行政書士、合原千尋氏(39)、元霧島市長の前田終止氏(71)、政治団体「オリーブの木」の工務店代表、奥山雅貴氏(44)が名乗りを上げている。

6選を目指す尾辻氏は自民公認と公明の推薦を受け、昨年から国政報告会などを実施。強力な組織力を地盤に準備を進めてきた。党県連大会で尾辻氏は「公認候補としてふさわしい戦い、恥じない結果を出すことに全力を尽くす」と続投に意欲。ただ一方では多選への批判も出ており、陣営関係者は「これまでになく厳しい戦い」と引き締めを図る。公示後、奄美には7月15・16日に喜界島、奄美大島、徳之島での遊説を予定。

立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党の統一候補として出馬する合原氏は、女性目線での政策と若さをアピールする。全国32の1人区で最後まで野党間調整が難航したが、国民候補の合原氏を無所属にすることを条件に社民が候補を取り下げ、共産候補も比例に回り、一本化できた経緯がある。鹿児島市内での野党総決起集会で合原氏は「女性や地域の声を国政に反映させたい」と訴え、共闘による戦いに支持を呼び掛けた。

5月に立候補を表明した前田氏は自民党県議(4期)出身。霧島市長も3期務めた地方行政の経験と実績を掲げ、現職に挑む決意を示している。北薩エリアを地盤に現職票の切り崩しで、保守層の取り込みを狙う。保守分裂の様相に前田氏は「このままでいいのかという声を受け、立ち上がった。郷土に対する情熱で戦いたい」と現状打破を強調。鹿児島の一次産業と観光の振興を重点公約に掲げ、広い選挙エリアを草の根運動で展開する。

奥山氏は「オリーブの木」公認候補として出馬表明。「人口減少による地元を含めた離島域の消滅危機から、地域おこしにつなげたい」と国政初挑戦に意欲を見せた。元衆院議員の小林興起氏を代表に、5月に結成した同団体。公認候補は11人(選挙区6人、比例代表5人)。選挙戦突入直前の立候補に、奥山氏は「奄美への思いを有権者一人ひとりに訴えたい。公認候補の発表が遅れたが、地域を重視した政策に取り組みたい」と語った。

鹿選挙区における投票率は前回選(3年前)が55・86%、前々回選(6年前)が50・42%と低迷。有権者の関心の低さが懸念され、投票率の行方も注目される。6月2日現在、県全体の登録有権者数は136万4057人。