徳之島出身の樺島資彦さんもモデルに、命の輝きと平和への願いを分かち合った圧巻の特攻隊ミュージカル「流れる雲よ」公演=13日、天城町
【徳之島】太平洋戦争末期の特攻隊員たちの心情を描いた「特攻隊ミュージカル『流れる雲よ』」(草部文子作、㈱スマートリバー主催、天城町共催)の徳之島初公演が13、14の両日、同町防災センターであった。伊仙町出身の元教師・樺島資彦さん(享年25)をモデルの一人に取り入れた舞台は、若き特攻隊員らの葛藤と平和への思いを観客と分かち合い、2日間で計750人が鑑賞した。
同作品は、東京の劇団アトリエッジが26年間にわたり全国で上演、第38回ギャラクシー賞奨励賞を受賞した舞台。知覧飛行場を舞台に、未来からのラジオ放送を耳にした隊員たちが数日後の敗戦を知り、「何のために命を投げ出すのか」と苦悩する姿を描く。樺島さんをモデルとした後藤広明隊長は、故郷を守る覚悟を胸に出撃する人物として描かれ、若者の死の悲劇と未来への希望が込められた。
今回の徳之島初公演実現の中心となったのは、発起人で企画・プロデュースして自ら出演した俳優の池田恵理さん(32)。役作りのため約7年前に徳之島を訪れ、樺島さんの遺族や遺書と出会ったことを契機に一念発起した。池田さんは舞台で隊員の妻・朝子を熱演し、「小さな企画が大きな公演に。今を生きる私たち、そして未来の子どもたちに平和の尊さを伝えたかった」と感謝を述べた。
観客の一人で、特攻機の中継地だった旧日本陸軍浅間飛行場など地元の戦史調査も行っている中水勝久さん(75)=同町岡前=は「平和の尊さと、若い命の犠牲を忘れてはならない」と語り、家族と来場した亀津小4年生の松村楓さんは「80年前にあったことが分かった。戦争をしない平和な国が続いてほしい」と話した。
公演は、地元中学生による平和作文朗読や島口ミュージカル・結シアター手舞などのステージも交えた2部構成。最後は「未来のラジオ」に関係者代表らで鎮魂の白菊を献花した。
13日~15日は伊仙町阿権の前里屋敷で「特攻隊員・亀津小学校教員 樺島資彦さんが残したもの」の資料展と、15日はトークイベント(同町教委・いせん寺子屋主催)も併催された。

