粘った徳之島 延長戦を制す

粘った徳之島 延長戦を制す

【準々決勝・徳之島―尚志館】延長10回の死闘を制し、ナインと喜ぶ徳之島のエース長尾(左端)=平和リース

 

 

9日準決勝、出水中央戦
秋高校野球第13日

 

 

 【鹿児島】第157回九州地区高校野球大会鹿児島県予選第13日は5日、鹿児島市の平和リース球場で準々決勝2試合があった。
 奄美勢の徳之島が尚志館と対戦。延長十回タイブレークの末、10―7で勝利し、2005年秋の第117回大会以来20年ぶりとなる4強入りを勝ち取った。
 第14日は9日、同球場で準決勝2試合がある。徳之島は出水中央と対戦する。
 試合結果は次の通り。
   =平和リース=
 ◇二回戦(第3試合)
徳之島
0004000033 10
4000000030 7
尚志館
【徳】長尾―川畑
【尚】倉冨、福原、今井―峰、深港
 ▽三塁打 川畑、竹下(徳)▽二塁打 嶋田(徳)、池田(尚)
(徳)
41141054322210
打安点振球犠盗併失残
391476322129
(尚)

【評】徳之島は一回裏に4点を先取される苦しい立ち上がりだった。エース長尾を中心に守備でリズムを作り、四回表に3連打で無死満塁として、連続押出し、8番・紀乃の2点適時内野安打で同点に追いついた。同点で迎えた九回、3番・嶋田主将の中越え二塁打などで3点を勝ち越した。その裏、同点に追いつかれ、タイブレークの延長へ。十回表、1番・竹下の走者一掃中越え三塁打などで3点を勝ち越し。その裏を無失点で切り抜け、劇的な勝利をものにした。

 

 

【準々決勝・徳之島―尚志館】9回表徳之島一死二塁、3番・嶋田の中越え二塁打で二走・竹下が生還、5―4と勝ち越す=平和リース

 

 

試合ごとに強くなる
確かな手応えの勝利
徳之島

 

 

 決してスマートな勝ち方ではない。それでも延長戦までもつれた2時間37分の死闘を制した。「選手たちが試合を経験するごとに成長し、強くなっている」(地頭所眞人監督)確かな手応えが感じられた勝利だった。

 エース長尾が初回に打ち込まれ4失点。これまでならコールドで押し切られてもおかしくない展開だったが「チームの誰も諦めていなかった。ベンチワークが最高だった」(地頭所監督)。悪い流れは良い守備で断ち切る。二回一死一二塁のピンチを併殺でしのぐと、三回は捕手・川畑が二盗を刺し、五回は二死二塁で左前打を打たれたが、左翼手・野中、遊撃手・竹下の見事な中継プレーで本塁アウトをとった。「この3試合、いつも長尾に助けられていたから、きょうは守備で長尾を盛り立てたかった」と再三好守を見せた竹下遼は言う。

 「島を出た頃よりも、打撃に対する意識が一人一人高まり、しっかりと強い打球が打てるようになった」と嶋田雄心主将。力のある尚志館のエースを四回に打ち崩す口火を切ったのは、嶋田主将の中前打であり、九回には勝ち越しの中越え二塁打を放った。

 勝ちを意識し、九回裏にミスも絡んで同点に追いつかれたが、「自分たちは夏1回戦で負けて悔しい思いをしたから、絶対に負けたくない」(竹下)強い気持ちは最後まで途切れなかった。この試合の反省は9日の準決勝・出水中央戦で生かせばいい。順調にいけば試合まで3日間、また練習ができる。「まだまだ伸びると思います」と地頭所監督は大いなる期待を寄せていた。
                             (政純一郎)