食と農戦略策定へ最終会議

奄美市は「食と農の総合戦略」策定に向けて最終会議を開き、案の報告や委員によるグループ協議が行われた

「くらし」「しごと」「つながり」基本
生業へ支援を 奄美市

 「しあわせの島」実現に向け「食と農の総合戦略」策定へ奄美市は2日夜、最終となる第3回会議を市役所(名瀬総合支所)会議室で開いた。委託を受けた運営事務局(一般社団法人奄美みらいエネルギー)が出席した委員を前に案を報告。基本的な考えに「くらし」「しごと」「つながり」を掲げており、在来品種の伝統野菜などが生業(なりわい)として持続的な循環に向け生産者への支援を求める意見も上がった。

 最終会議には安田壮平市長も出席。あいさつでは、食と農の戦略は市長の政策としてマニフェストで示していることを説明し「農業は奄美群島の基幹産業だが、(奄美大島は)徳之島や沖永良部島など他の離島の後塵(こうじん)を拝している。食文化や食育を見直し食と農が身近に感じてもらえるよう取り組みたい」と述べ、事務局の案報告や各委員がグループに分かれての協議、意見発表に接した。

 案によると、基本的考えと取り組む方向性は、「くらし=食と農が日常の豊かさを支えるくらしを目指そう」が①食と農に触れ、島の食材を選ぶきっかけづくり②地域から食卓へ、日常に感じる食の循環づくり、「しごと=食と農を軸に、島の生業が持続的に循環することを目指そう」が①地域資源の循環による持続可能な農林水産業の未来づくり②奄美ならではの伝統・風土が織りなす特色づくり、「つながり=食と農を通じて、ひと・地域がつながり続ける関係性を育もう」が①食と農の誇りを次世代へつなげる環境づくり②島内・島外との多様なつながりが新たな可能性を生む仕組みづくり―としている。

 報告を受けて委員は「くらし」「しごと」「つながり」に分かれてグループで協議。奄美大島にある在来品種の伝統野菜としてフル(葉ニンニク)、コーシャマン(山芋)などがあるが、観光客を含め消費者の需要はあるものの生産が安定せず、アッタドコネ(有良ダイコン)のように保存と継承に取り組んできたNPO法人が会員の高齢化などから活動を休止する事態も出ている。

 生業に向けて委員から「新たに地場野菜を生産する人への支援を」「継承へ若手とベテランのマッチング(結び付く)の機会を」「地元青果市場に作物を持ち込む際に、レシピの提供まですることで伝統野菜への関心が高まる」「栽培講習では動画を取り入れた方が分かりやすく理解につながる」などが上がった。また、食と農の関心を広げるため、家庭菜園・兼業農家・市民農園を「次のステージに向けて活用することが必要ではないか。土地(農地)が余り出している。条件がいい所を市民へ還元し野菜づくりの普及を」との提案もあった。

 市農林水産課によると、最終会議で発表された委員の意見も案に反映し、3月8日に奄美市産業支援センターで開催する「あまみの食と農のめぐみ博」で策定された総合戦略を公表する。新年度は推進事業を計画。奄美独自の自然や歴史、文化と密接な関わりのある食と農を守り、育み、未来へ継承していくための取り組みを行う。