名瀬有屋の外ネコ調査

外ネコを探す参加者たち

撮影したネコの特徴をノラネコ確認表に記入

調査で得た情報をもとにネコマップを作成

ネコ問題を身近に
住民とACNら関係団体協働で
適正飼養の意識向上へ

 奄美ネコ問題ネットワーク(ACN、久野優子代表)は29、30日の両日、奄美市名瀬有屋町の住民と協働で地域にいる外ネコ調査を行った。町内会の協力のもと、住民とACNや環境省職員、奄美市環境対策課職員ら約30人が調査を担当した。得た情報は市の野良猫TNR(繁殖制限を目的とした不妊手術)事業に活用される。このプロセスを住民と一緒に行うことにより、実態把握とともに適正飼養の意識向上を図り、将来的に屋外ネコゼロを目指す。

 ACNは奄美猫部、NPO法人奄美野鳥の会、奄美哺乳類研究会の3団体が中心となり、ネコ問題の啓発を推進してきた。同調査は「奄美大島における生態系保全のためのノネコ(野生化したネコ)管理計画」の、「ノネコの発生源対策 市街地地区の外ネコモニタリング」に位置づく。

 同調査は2019年5月に名瀬大熊町で初めて行われ、今回が2カ所目にあたる。地域の屋外にどんなネコがどこにどのくらいいるのかを町を歩いて調査し、個体識別できるよう情報を記録する。

 得た情報は市のTNR事業に提供される。TNRは野良猫の増加を抑制するとともに、発情期の鳴き声などを抑える効果がある。調査はTNRの事前と事後にそれぞれ2回ずつ行い、不妊化率の上昇を目指す。

 事前調査に参加した住人は初めにACNから調査方法、カメラの操作説明を受けた。8班に分かれて担当エリアを40分ほど歩き、外にいるネコを見つけたらカメラで撮影し、個体の特徴をメモした。途中で住民に会うと「このへんに野良ネコいますか?」「あそこに2匹いたよ」などの情報交換も行い、調査に活かした。

 有屋公民館に戻った後はノラネコ確認表にネコの模様や耳カット(不妊手術済みの印)の有無などの特徴を記入し、地図上に発見場所を記して最終的にネコマップを作成した。

 両日で計30匹を確認し、そのうち耳カットあり20匹、耳カットなし6匹、不明2匹、飼いネコ2匹だった。事後調査は12月の予定。来年3月ごろには住民向け報告会を予定している。

 ACNの塩野崎和美さんは「以前はネコ問題に無関心な人が多かったが、今回のように住民が参加してくれるとありがたい。みんなで一緒に考えられるきっかけになる。それから飼いネコはぜひ首輪をしてほしい」と語った。

 調査に参加した住民の松元絹代さんと重田香代さんは「最初はできるか不安だったが、やってみたら楽しかった。今まで耳カットのネコを気にしたことがなかったが、施策が少しずつ進んでいることを実感した。ネコを探しながら地域の人と話ができたこともよかった。みんなもやってみたらいいと思う」と話した。