駐屯地を緊急避難場所に

協定書に署名した安田壮平奄美市長(左)と長谷川健奄美駐屯地司令(4日、奄美市名瀬)

奄美市、陸自と協定締結
22年トンガ沖噴火でも活用

 奄美市は4日、大規模災害時における緊急避難場所に関する協定を陸上自衛隊奄美駐屯地と結んだ。奄美群島内の自治体で自衛隊と避難所活用を目的に協定を結ぶのは喜界町に続き2例目。同駐屯地は2022年のトンガ沖噴火による津波警報時にも住民に開放されており、協定を通してさらなる市民の人的被害の軽減、生活の安全確保を図る。

 協定は奄美市内で大規模な地震・津波災害の発生、または大津波警報の発表時、市所管の避難場所で避難者の安全確保が不可能と市か奄美警備隊が判断した際、一時的な緊急避難場所として奄美駐屯地内の敷地及び施設の一部を提供するもの。同駐屯地はトンガ沖海底火山の噴火で2022年1月16日未明、奄美群島などで津波警報が発令された際、住民ら約120人、車両約50台を受け入れている。

 締結式が同市役所であり、安田壮平奄美市長、長谷川健奄美駐屯地司令が出席し、協定書に署名。安田市長は「トンガ沖噴火による津波警報時、深夜にかかわらず、奄美駐屯地は多くの住民を受け入れ感謝している。協定を結ぶことで、地域の方々が安心する安全確保にも確実につながる。さまざまな災害対策を連携して取り組んで行きたい」と期待を寄せた。

 長谷川司令は「協定の実効性を実現するには、地域の皆さんに緊急避難場所である駐屯地に足を運んでいただき、想定に基づく津波避難の訓練が必要。市に積極的に協力したい」と述べた。

 また、報道機関との質疑応答で安田市長は、同協定を今年3月に締結した喜界町と海上自衛隊佐世保地方総監部、防衛省情報本部喜界島通信所との事例を参考にしたとし、「まずは駐屯地を緊急避難場所と知ってもらい、個別避難計画による要支援者の避難先などにも活用してもらえれば」と見解を示した。