特攻隊ミュージカル「流れる雲よ」 徳之島で9月特別公演

特攻隊ミュージカル「流れる雲よ」。徳之島天城町特別公演の発起人の俳優・池田恵理さん

 

 

 

地元出身特攻兵の遺志伝える

 

 

 

 【徳之島】長年、全国で上演され続けている特攻隊ミュージカル「流れる雲よ」の特別公演が9月13、14の両日、徳之島・天城町防災センターである。同島の伊仙町出身の特攻兵(陸軍少尉)・樺島資彦(かばしますけひこ)氏をモデルにした登場人物がおり、故郷での上演を願う発起人の熱い思いが実を結んだ。チケット発売中。
 
 ■ 運命の出会いが生んだ特別公演への決意

 今から80年前の1945(昭和20)年5月25日、25歳の若さで沖縄近海の敵艦隊に突入して戦死した樺島氏は、亀津小学校(亀津国民学校)で教壇に立ち、子どもたちに人気の先生だった。「過去と未来、死にゆく者と残された者」。同ミュージカルは「平和な未来」を願い海に散った若者たちの物語だ。

 公演の発起人である俳優の池田恵理さんは、7年前に初めて徳之島を訪れた。そこで樺島氏の遺族との交流を通じ、出撃前に書かれた遺書と運命的な出会いを果たす。それを機に「いつか必ずこの舞台をこの島に届けたい」という強い願いを抱くようになった。

 しかし、6年後、遺書との再会を願って再び徳之島を訪れた際は、遺書の保管場所が分からなくなっているという現実に直面した。時間の流れの重みを感じる中、奇跡的に遺書を見せてくれた方の姪(めい)が池田氏のことを覚えており、家じゅうを探してくれたおかげで、再び遺書と対面する。この奇跡的な再会が、公演実現への決意をさらに強くさせた。

 ■ 住民の協力で実現へ

 公演実現に向けた池田さんの熱意は、天城町と同町教育委員会の協力(共催)と住民サイドの支援へとつながった。今年3月には準備が本格的に始動。7月に立ち上げられたクラウドファンディングは、すでに110人超に支援の輪を広げ、徳之島内外で大きな広がりを見せている。

 ■ 平和と命の尊さを伝える

 ミュージカル「流れる雲よ」は、当時の若者たちが抗(あらが)えない社会状況の中で、どのように生き、命を全うしたのかを描く物語。発起人の池田さんは、「平和の大切さや命の尊さを、徳之島の皆様とともにあらためて見つめ直す機会になれば」と話す。樺島氏の故郷である徳之島で、彼の遺志と若者たちの生き様を伝える貴重な機会となりそう。

 開演は13日が午後6時、14日は午後4時(開場30分前)。コラボアーチストとして地元の島口ミュージカル「結シアター手舞」やシンガーソングライタ―しずく、禎一馬さんが出演。中学生2人による平和作文の朗読もある。並行して樺島氏の遺書など遺品も展示。15日午前10時~正午はトークイベント(いせん寺子屋塾主催、会場・伊仙町阿権「前里屋敷」)も予定。

 チケット(1人千円)の販売窓口は天城町ユイの館・伊仙町歴史民俗資料館・SHOPかんだ・徳之島観光連盟・盛保険事務所亀津店など。問い合わせは天城町ユイの館(電話0997・85・4720)へ。