救急医療講演会

MESHの活動への支援を訴えた塚本裕樹理事長(12日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA)

「病院から島に戻れない!」
帰島困難の実態語る
民間医療搬送MESH 塚本理事長

 大島郡医師会(稲源一郎会長)主催の「2025年度救急医療講演会」が12日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)であった。奄美群島や沖縄県で、救急搬送された患者を元の島に戻す帰島搬送や準救急搬送に取り組むNPO法人メッシュ・サポート(MESH)の塚本裕樹理事長が講演。「搬送先の病院から古里に戻れず、知らない土地で命を落とすケースが多い」と話し、活動への支援を訴えた。

 医療講演会は、「救急医療週間」に合わせ毎年開催。血液備蓄所の再設置問題や救命救急の初動対応など、奄美群島が直面する医療課題と向き合ってきた。

 「島外への緊急搬送後、故郷に戻れない!」と題し講演した塚本理事長は、MESHの成り立ちや活動を紹介。

 故・小濱正博医師により2008年に設立されたMESHは、半径50㌔とされるドクターヘリのカバー範囲を補完する目的で、救急ヘリの運航を開始。15年には、医療用小型飛行機を導入し、沖縄本島北部地域と離島の医療活動を広範囲で支援する体制を構築した。

 これまでに奄美群島への帰島搬送は、与論島5件▽沖永良部島26件▽徳之島4件▽奄美大島3件。救急搬送され、民間飛行機などでの帰島が困難な患者を運ぶ「準救急搬送」は、与論島20件▽沖永良部島27件▽徳之島2件▽奄美大島1件。

 塚本理事長は「症状が安定しても、頭部骨折など固定が必要な場合や医療器具が外せない例も多い。緊急搬送以外でドクヘリや自衛隊機は使えない。離島の患者搬送にはMESHのような存在が不可欠」と話した。

 運営にも言及。年間5千万円の運営費を支える寄付は約2700万円にとどまり、長期運営が困難な状態にあるという。自治体への協力要請を重ねているが、「前例がない」と受け入れない例が多いという。

 塚本理事長は「活動を知らず、帰島困難になっている例は多い。MESHを利用し帰島する人は、ほんの一握り。島民の尊厳を守る活動を応援してほしい」と訴えた。

 参加した奄美市の50歳代の女性は「新聞で読むことはあったが、特別な事例だと思っていた。自分や家族に置き換えたら怖い。離島では避けて通れない問題。自治体はなぜ支援に動かないのか」と話した。

 講演会では、10月1日から全国一斉に実証事業が始まるマイナ保険証の医療データを活用した「マイナ救急」について、大島地区消防組合による実演講演もあった。