「家のご飯が育む未来」を演題に講演した料理研究家の土井善晴さん
健康相談コーナー、作品展示コーナーも設けられた
第27回龍郷町民フェアが15日あったが、「一汁一菜(いちじゅういっさい)」で知られる料理研究家・土井善晴(よしはる)さんの講演会が行われた。土井さんは食事について「料理して食べること」と定義し、料理する人の役割として自然と人の間に入ってのコントロールを挙げ、生活していくための「秩序」とした。
会場となった町体育・文化センターりゅうゆう館には多くの町民らが来場した。土井さんの講演会の演題は「家のご飯が育む未来」。ご飯やみそ汁に通じるとして、その土地で収穫されたものを、その土地の昔ながらの食べ方で味わう「土産土法(どさんどほう)」ついてまず触れた土井さんは「当たり前にある水、空気、家族を大切に守りたい。奄美は自然が豊かで気持ちがいい。14日に入りホテルに滞在していると、皆さんが気軽に声を掛けてくれた。こうした習慣を大事にしてほしい」と語った。
講演では食事について広辞苑に記載されている「物を食べること。特に、生命維持のために栄養分を摂取する行為」ではなく、「料理して食べること。お天道さまの『秩序』に生きている まっすぐな暮らし」として、ちゃんと料理して食べることは栄養摂取や喜びだけでなくコミュニケーション(社会的)にもつながるとした。
「人間は料理する動物。火を通す行為によって食べられないものが食べられるようになり、料理しないと生きていけなかった」と語った土井さん。「食事の形」の段階的な目的について▽一汁一菜=しっかり健康に生きる▽一汁二・三菜=日常の楽しみ▽祝い・行事=おもてなし/パーティー―に分け、「水に野菜を入れて火を通すとうま味が出るから、だしは必要ない。発酵食品であるみそは全てを受け入れる。(具材として)ソーセージやトマトでもよく、何を入れてもいい。自分で作り食べる。一人二役は生きていく要素であり欠かせないこと。和食にメインディッシュはない。季節のものぐらい。一汁一菜でOK」と述べ、食文化とも言える季節のものの取り入れでは「春は芽」「夏は水」「秋は実」「冬は根」を上げた。
NHK「きょうの料理」で長年レギュラーを務めるなど著名だが、穏やかな語り口と親しみやすい人柄に呼応するように講演の最後に質問時間を設定すると、来場者から次々と質問や感想が寄せられた。毎日の食事である家庭料理の献立については「楽しくすること。何にするか決めておらず、目についたもの(食材)でどうするか判断している。料理では掃除や片付けといった、きれいにすることが大事。いくら食材が良くても調理場が汚れていては、おいしい食べ物を提供できない」と土井さんはアドバイスした。
会場のりゅうゆう館アリーナでは展示コーナーが設けられた。健康部門、大島紬展示、各学校・保育所(園)による作品展示、県立奄美少年自然の家コーナーなどで、来場者が見学する様子が見られた。

