都会の学生が離島で就業体験

黒潮の森マングローブパークで2週間の日程で就業体験する佐々木さん

 

 

未来の仕事、島での働き方探る
群島25人、「島キャン」始まる

 

 離島で就業を体験する島おこしインターンシップ「2022年夏の島キャン」が今月から各地の離島で始まっている。3年ぶりの開催に、奄美群島では9月25日までに関東や関西の学生25人を派遣予定。地元観光業や企業で働きながら、未来の仕事を意識し島での働き方を探っている。

 「島キャン」は、カケハシスカイソリューションズ(本社・東京都新宿区)が運営する大学生インターンシップで、今回は8・9月の2カ月間で実施。離島の地域活性化を目的に2014年に始まり、20・21年を除く6年間で1100人以上の学生を島とつなげてきた。

 22年度は、隠岐諸島(島根県)、五島列島(長崎県)など7離島・約30事業所に計50人の就業を計画。奄美群島では今月15日までの第一陣に、NPO法人TAMASU(大和村)、KAZBO(奄美市笠利町)、ゲストハウス・アマテラス(同)などの4事業所が計6人の学生を受け入れ、都会では経験できない働き方を満喫している。

 8日、奄美市住用町の「黒潮の森マングローブパーク」では、群馬県出身で神奈川県の明治学院経済学部に通う2年生・佐々木崚汰さん(19)が、島キャンOBで秋田県から移住した髙橋周作さん(27)に指導を受けながらカヌーガイドの仕事に汗を流していた。世界自然遺産に興味があったという佐々木さんは、カヌーへの乗り降りや案内、講習のサポートなどで一日約200人の観光客らとふれ合い、「街の人もいきいきしており海のサンゴ礁や自然など魅力ある島。ここで培った経験や能力を将来や社会に役立てたい」と仕事に勤しむ。髙橋さんも「仕事上厳しく接してはいるが、会話も上手でお客さんにも人気。若いスタッフへもいい刺激になっている」と喜ぶ。

 学生らは滞在期間中にフェイスブックやツイッターなどのSNSで島の魅力も積極的に発信。同事務局の池田園子さんは「学生には定着を望むわけではなく、何のために働き地域貢献とは何なのかを考えるきっかけにしてほしい。その上で、第2の故郷、思い出の場所になれば」と話している。