参院選 ~あまみの声~

昼食だけでなく夕食と1日2食を提供している介護事業所きずなのデイサービス。利用する高齢者の食生活を支えている

物 価 高
限られた年金、食費切り詰め
デイサービスで2食提供 栄養面補う

奄美市名瀬井根町で一人暮らしの満=みつ=みちさん(90)。娘2人、息子1人は島外に居住する。生活を支える収入は年金で、「勤務していた総菜店の代表者の理解が今思うとありがたい。50歳代だったのに他の従業員同様、厚生年金に入れてくれた」。支給額を月あたりに換算すると約9万円。

満さんは1週間に1回スーパーに出掛ける。パック入りのご飯、おかず用としてはタマネギなどの野菜類とひき肉を購入する。「ハンバーグにするため。硬い肉よりハンバーグの方が食べやすい。作り置きしている。ひき肉を使いスパゲティも作る」。月1回通う医療機関の医師からは、こう聞かれるそうだ。「栄養は100点満点。なぜ?」。満さんは話す。「家での朝食で最初に口にするのは黒砂糖。豚みそも好物。少しずつ6~7種類ぐらい朝、食べている。朝食は自宅で済ませているが、昼と夕のここでの食事の話をお医者さんには伝えている」。

要介護1の満さん。同市名瀬浜里町にある介護事業所きずな(勝村克彦代表)のデイサービスを週4回利用する。「ここで」はきずなでの食事であり、デイサービスでの食事提供は昼食が一般的だが、午前11時半~午後6時半まで通常サービスをしているきずなの場合、夕食も提供する。1日2食だから、14食のうち8食はきずなで済ませていることになる。「ここでの食事で助かっている。食費の負担をそれほど感じない。歯の関係で肉はなかなか食べることができないが、おいしくて最高。野菜料理は残さず食べる」。朗らかな笑顔を見せた。
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 名瀬春日町の公営住宅で夫婦2人暮らしの中=あたり=英子さん(85)。支給される国民年金は2人合わせて月約10万円。食品などの購入にあたっては値段を見ながら3か所のスーパーを回り、まとめ買い。「2万円準備するが、みんな値上がりし、足りるか常に心配。値段を見て安い所から買っている。レジの数字が気になってしまう」という中さんは、こう語った。「もっと年金額が多ければいいけど、この収入では食費は重い負担。食費にかかる消費税はない方がいい。社会保障に役立てられているのなら、せめて3%ぐらいに引き下げることはできないか。何もかも値上がりし大変」。中さんの表情が曇った。

中さんもきずなのデイサービスを利用している。「台所に立つと足が痛い。足が曲がらない。長く立てない」という中さん。歩行に支障がある。要支援2に認定されており、通えるのは週2回。「食品の購入、調理の負担。要介護に認定されたら、もっと通いたいと思っている」。勝村さんが代弁した。

きずなが展開する通所介護事業。上限は15人で、1日平均12~13人の利用がある。利用者の年齢は80~90歳代。2食提供している食事の費用は1食あたり400円をずっと続けていたが、昨年50円、今年も50円引き上げ500円に改定された。「利用者の皆さんには申し訳ない気持ち。食材の高騰により据え置くことができず、値段を上げさせていただいた」(勝村さん)。提供するメニューは栄養面のバランスを第一にしているという。「野菜だけでなく肉も一定程度食べないと栄養面で偏りが生じてしまう」。帰宅前の夕食をメインにしており、デイサービスでは珍しいお刺身も提供している。
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 勝村さん自身も買い物のたびに、あらゆる食材の高騰を実感するという。「限られた年金で生活されている人は今まで買っていたものを買わなかったりするなど切り詰めてどうにか生活している。こうした負担を軽減するには消費税の減額は必要ではないか」。この消費税について与党は「社会保障の大事な財源。一時的でも減額あるいは廃止すると医療や福祉といった社会保障が維持できなくなる」と主張する。介護事業という社会保障に関わる勝村さんは疑問を投げかける。「他の予算を削っての分配、または積み立てられた国のさまざまな基金を活用し介護保険サービスなど社会保障を手厚くするという方法があるのではないか。消費税と介護などを直接的に結びつけるのは疑問」。

こうした食事面だけでなくデイサービスでは入浴も行われており、この二つによって高齢者の健康と身体の衛生が保たれている。「自宅での一人暮らし。入浴中に何かあったらと、恐くて浴槽に入ることができないと聞く。ここで週に数回、ゆっくりと湯船につかる。それを楽しみにしている皆さんが多い」。家庭と同じ一人浴槽であり、お湯は必ず入れ替えている。「光熱費も上昇している。水道代金は月約3万円。奄美市は来月から水道代の基本料を免除するが、それでも経費がかかる。一方で介護報酬はあまり上がっていない。経営は本当に厳しい。サービスの質を落とすことはできないだけに、他の部分で無駄なものはないか洗い出し削ることで何とか経営が維持できている」(勝村さん)。

高齢者の健康的な暮らしを支え、老後を守っている介護事業所。実態を訴える声は参院選の候補者、政党に届いているだろうか。