重点農家64人選定し研修

今年度からスタートした「あまみフルーツアイランド確立事業」で重点支援農家を対象とした全体研修会。出席者との意見交換を含めてパネルディスカッションも行われた

 

 

アンケートで低収量判明 改善へ有機質肥料投入
フルーツアイランド確立事業

 

 

 

 奄美大島の5市町村やJAあまみ大島事業本部、生産者代表で構成する奄美市奄美大島選果場管理運営協議会(会長・大庭勝利奄美市農林水産部長、事務局・市農林水産課)は2025年度から、奄美群島振興開発事業の交付金を活用し「あまみフルーツアイランド確立事業」を開始している。人材育成、品質保証、ブランド産地の確立が活動内容だが、うち人材育成で重点的に支援する農家64人が選定され、29日、市農業研究センターで全体研修会が開催された。アンケートによりタンカンは隔年結果の変動幅が低いものの、毎年低収量の農家が多いことが明らかになり、有機質の肥料(発酵させるぼかし等)投入が収量増につながることが報告された。

 各市町村がリストアップし各支部長が了解した重点支援農家の市町村別は奄美市25人(名瀬13人、住用10人、笠利2人)、宇検村8人、龍郷町7人、大和村12人、瀬戸内町同。事業を担当するブランド確立推進員の熊本修さんは、単収500㌔~1㌧、面積50㌃~100㌃、高い生産意欲を持つ農家が選定されたことを説明した。今後、重点支援農家を対象とした指導プランが作成され、生産量増加に役立てる。

 熊本さんが事業について説明後、「タンカンの安定生産に必要な条件とは」をテーマに研修。まず熊本さんが支援農家に行ったアンケート(45人回答)の集計結果と考察を報告。生産量(成木・樹齢7年生以上)をみると、単収(10㌃あたり平均収量)は23年度産749㌔㌘、24年度産690㌔㌘、25年度産計画771㌔㌘となり、「隔年結果の変動幅は低いが、収量が1㌧以下と非常に低い」。県(大島地域版)の目標収量は1・8㌧(単収でタンカン専作120㌃規模)で、24年度実績で目標をクリアしている農家は1人しかおらず、25年度計画では2人。「ほとんどが目標収量に対し、はるかに届いていない」。

 収量を上げるには「窒素の投入が大事」とされる中、アンケートにより施肥は目標収量に見合った量を施用していることが判明。肥効期間を延ばすため「さとうきび一発君」のように270日タイプを使用する生産者も増え始めたことや、4~6月に有機質肥料(魚粕(かす)、発酵させるぼかし、堆肥、米ぬか)を入れる生産者も多いことを報告し、熊本さんは「有機質肥料が収量増の要因となっている」と指摘した。また、タンカンは収穫後の樹勢回復期間が短いことから、「剪定(せんてい)を早く終わらせ、早く樹勢回復を図ることが必要」とした。

 藤村秀久さん、平井孝宜さん、元井雄太郎さん、池島修さん、広野裕介さんの5人の農家がパネリストになってパネルディスカッションもあり、会場の出席者を含めて意見交換。着果安定、樹勢回復に向けては「施肥のスタートは秋肥と考えている。10~11月は果実の色抜けが始まることから、着色や暖冬の影響を改善できる。気候に合わせた栽培方法の工夫を」「化成肥料よりも有機肥料を発酵させて投入しており、樹勢回復につながる」、肥料体系は「養分を蓄えることから夏根を前提に春肥を増やす施肥体系を心掛けている」「発酵させるぼかし肥料は専用の倉庫を設けるなど自己投資が必要で普及の難しさがあると思うが、作物の基本は土づくり。発酵によって微生物の力を感じ、長期的にみて効果がある」などの発表があった。