安定生産により収量の増加が課題となっている奄美大島のタンカン(資料写真)
果樹農業が盛んな奄美大島で今年度からスタートした「あまみフルーツアイランド確立事業」では重点的に支援する農家64人が選定された。同農家を対象にしたアンケート(45人回答)により安定生産に必要な条件、改善の方向が示された。集計結果と考察の詳細を掲載する。
【生産量(成木・樹齢7年生以上)】全体の生産量は2023年度産253㌧、24年度産239㌧、25年度産(計画)227㌧(1人あたり平均5・7~7・2㌧)。10㌃あたり平均収量(単収)は、23年度産749㌔㌘、24年度産690㌔㌘、25年度産計画771㌔㌘と低い。
考察=重点支援農家64人が現在より、▽単収100㌔㌘上げれば、面積42㌶で42㌧。単収100㌔㌘を植栽本数60本で割ると1本2㌔㌘弱であり、十分可能な数字▽単収500㌔㌘上げれば、面積42㌶で200㌧以上。成木で1本約8㌔㌘増やすのは不可能ではない。
樹冠占有面積に比べて植栽間隔が広すぎて無効空間が多い。適正な植栽間隔を保つためには、補植をすることで収量を上げることも大切。
【施肥】24年度産の窒素投入量は平均18・8㌔㌘(10㌃)、25年度産計画の窒素投入量は平均21・4㌔㌘(同)。これは、栽培暦の目標収量1500㌔㌘に相当する。葉面散布の平均回数は5・5回。葉面散布剤は尿素の500倍が多かった。
追肥は栽培暦によると10月上旬。アンケートでも10月上旬に奄美果樹配合を施用する生産者が多かったが、4~6月に有機肥料(魚粕(かす)、ぼかし、堆肥(たいひ)、米ぬかなど)を入れる生産者も多い。
考察=施肥は目標収量に見合った量を施用しているのに収量が低いのはなぜか?▽施肥時期が適正か。発根していない時期に施肥しているのでは▽樹勢が落ちているのに一度に多くの肥料をやって、肥料を吸収し切れないのではないか。
【摘果】開始時期は、6月に入ってから始める園が多いが、5月から始める園もいる。8月摘果はやや少なく、9月に摘果する園が再び増えた。下場は早めに摘果することで残された果実が肥大しすぎる課題もあるほか、昨年のように早く摘果した果実にスアガリ(果汁減少)が生じた事例もある。
摘果回数は平均約3回。面積や植栽本数が多い生産者は摘果の回数も多かった。ほぼ毎月摘果する生産者(6~7回)もいた。
考察=今年のように果実の生育ステージが昨年より遅れている場合は、当然摘果開始時期も遅くする必要がある。
【収穫時期と剪定(せんてい)時期】24年度産収穫は、3月上旬までに終わらせる生産者がほとんど。25年度産に向けた剪定は、3月上旬から始め4月下旬までに終わらせる生産者が多かった。しかし、5月になっても剪定を続ける生産者もいた。
考察=タンカンは収穫後の樹勢回復期間が短いことから、剪定を早く終わらせ、早く樹勢回復を図ることが必要。
一斉に早く発芽させることができれば、その後の管理もやりやすく樹木への負担も少ない。せめて、3月上旬までに収穫を終わらせ、4月上旬~中旬頃の開花期までに剪定を終わらせるような作業の段取りが必要ではないか。

