可能か一体化  ~ニュースFollow~

JAあまみ大島事業本部が管理運営する奄美大島選果場。設置されている光センサー選別の優位性を十分に発揮できていないため、特に共販量の確保が課題となっている

奄美大島選果場運営
JA「共販量増えないと成り立たない」生産者代表「量確保し持ち込み上積みへ」

「奄美大島タンカンのブランド確立(安心・安全基準に沿ったGAP取得、かごしまブランド取得)を目指し、今年度から『あまみフルーツアイランド確立事業』が進められる。産地確立のためにも生産者、JAが一体となって選果場の利用促進を図ってほしい」。今年5月、奄美大島の5市町村やJAあまみ大島事業本部、生産者代表で構成する奄美市奄美大島選果場管理運営協議会(会長・大庭勝利奄美市農林水産部長、事務局・市農林水産課)で大庭会長は、こうあいさつした。4か月後の今月25日に開かれた同事業本部果樹部会の全体会議。JA事務局だけでなく役員(統括理事)も出席したが、同市名瀬朝戸にある奄美大島選果場を管理運営するJAと利用する生産者の一体化は程遠く、むしろ不信感を印象付けた。
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会議で配布されたのはJAが作成した奄美大島選果場の運営に関係する2024年度収支決算書。タンカンを購入する消費者の信頼につながる品質保証を可能とする光センサーが設置された選果場の利用実績を示す持ち込み量は約240㌧(共販75㌧、選果のみの委託163㌧)。収益合計から費用合計を差し引いた事業総利益は29万8千円を計上しており、約30万円の黒字だ。ところがJA側は「前年度は赤字で24年度は黒字だが、この収支決算書には販売関係の費用は盛り込まれておらず実際は130万円の赤字。選果料は持ち込み量400㌧を前提にした額であり、この10年間一度も達成されていない。240~250㌧の持ち込み量では事業としては成り立たない」「JAあまみが管理運営する選果場で赤字となっているのはここ(奄美大島選果場)だけとして、グループ内から改善を求められている。大島事業本部としても運営に苦慮している。選果料を引き上げなければ維持できない」と説明するとともに、「持ち込みでは共販量(JAが販売)が特に少ない。もっと共販量を増やしてほしい」と呼び掛けた。

これに対し出席した部会員(生産者)から「決算書として示している数字が実際と異なるというのはおかしい。赤字というのならその額を決算書に記入すべき」と疑問視する声のほか、「持ち込み量がどこまでなら収支がプラスあるいはマイナスとなるのか、目標にしていくためにも数値を示してほしい」「共販量を増やせというのなら、それに向けて共販のメリットの説明を」が上がり、事務局担当職員が前任者の退職で代わったこともあり明確な説明はなかった。
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JA側の説明と生産者側の疑問。出席した行政関係者は「選果場運営が赤字で人件費もかかり、JAにとって重荷という印象を受けた。赤字を出さないやり方がいくらでもあるのではないか。タンカン収穫時、JAが役職員一丸となって果樹園を回り、『選果場に出してください』と声掛けするだけで、農家は出さなくてはという気持ちになる。また、選果場の稼働時期、JAは担当者だけに任せっきりになっていないか。選果選別の流れの在り方、機械トラブルといった改善点は役員も選果場に足を運び現場を見ることで、実態が把握できるのではないか。今のような選果場運営では農家は持ち込もうという魅力を感じない」と指摘する。JA奄美市果樹部会の前山大輝会長も厳しい見方だ。「大島事業本部の職員数の問題もあり、なかなか手が回らないのは理解できる。生産農家も協力していかなければならないが、『選果をやってあげている』『本来なら手を引きたい』と受け止めてしまうような説明だった」と振り返り、JAと生産者の溝を危惧する。

量の確保に目を向けるのは大島事業本部果樹部会全体の代表である藤村秀久部会長。「今年度から始まったフルーツアイランド確立事業により担当するブランド確立推進員の指導の下、これまでの管理技術を見直し、生産量を増やす取り組みが進められている。各生産者が実践して単収アップにより量が増え、300㌧など選果場への持ち込み量が上積みされたらJAの運営も余裕が出るのではないか。光センサー選別により品質保証ができるのは奄美大島選果場だけ。有利販売できるという意識を生産者、JAが共に持ち、盛り上げていきたい」

奄美群島振興開発特別措置法に基づく事業で整備され、有効活用が長年の課題として横たわったままの奄美大島選果場。量と品質向上による産地づくり展開のためにも軸となるのは生産者、JAの一体化だ。
 (徳島一蔵)