奄美群島「日本遺産」申請へ

「日本遺産」認定を目指し研究協議も(奄美群島文化財保護対策連絡協研修会)=29日、伊仙町中央公民館

国立公園・文化Wゾーン効果期待
伊仙町で 群島文化財保護対策連絡協

 【徳之島】奄美群島文化財保護対策連絡協議会(四本延宏会長)の2018年度総会・研修会が29日、伊仙町中央公民館であった。文化財保護啓発活動など18年度事業計画案を含む全議案を承認。研究協議では、観光部局・団体とも連携協働して文化財をさらに活用し、地域の歴史的魅力や特色を日本国の文化・伝統の1つとして語り発信する奄美群島「日本遺産」認定への取り組みを協議した。

 県大島教育事務局と同連絡協が主催。12市町村の文化財保護審議委員や文化財行政担当ら約50人が出席。役員改選で再選された四本会長(伊仙町)は研修会の冒頭、「昨年から取り組んでいる日本遺産認定(獲得)への視点や論点、アイデアを煮詰めて欲しい。観光部局などとヨコの連携への課題を乗り越えるチャンスにもなる」と要請した。

 歓迎あいさつや功労者表彰などに続き、大島教育事務局側が地区重点文化財行政の重点施策を説明。県教育庁文化財課の森幸一郎文化財主事が「県文化財保護行政の概要」を講話。「日本遺産登録(認定)に向けての取り組みについて」研究協議した。

 「日本遺産」認定は、これまで指定・保存が重視されてきた文化財をさらに活用・発信することによる観光の誘致、地域おこしなどを目指し文化庁が15年度から進めている。「クールジャパン(日本の魅力発信)のためのアクションプラン」、「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」、「日本再興戦略」に記載された文化財の保存・整備・活用・発信とも関連。20年の東京五輪までの全国目標は約100件で既に67件を認定、鹿児島県内はゼロ(同日現在)となっている。

 文化財行政担当者は今後の計画と課題で、同認定による奄美群島のメリット(3年間事業100%補助、伝統産業の付加価値アップ、国立公園とのダブルブランド化など)を強調。来年2月1日の書類提出を目指すには、7月上旬まで観光部局・団体(観光連盟など)を交え事務局も決めてストーリーを考案する必要性も提示。

 奄美市教委文化財課(高梨修博物館長)はストーリー案として「奄美群島~日本(ヤマト)・琉球のクロスロード」「亜熱帯島嶼文化への誘い」「日本・琉球のクロスロードが生み出した亜熱帯の芸能と食文化~奄美群島8島めぐり~」も例示。「奄美群島は琉球と日本文化が重なったWゾーン。日本を語る上で欠かせられない。自然は似ているが歴史の違いもアピールすべき」とも強調した。

 群島(各市町村)の「日本遺産」構成候補を報告し合いながら意見交換した。30日は伊仙町内文化財の視察などを予定している。

 【表彰】▽地区文化財功労者 池村茂(徳之島町文化財保護審議委員)、西直實氏(知名町同)=敬称略=