県内最低賃金790円で再答申

石塚会長(右)からの答申書を受け取る小林局長(左)

県労組などの異議却下
最低賃金

 【鹿児島】鹿児島地方最低賃金審議会(石塚孔信会長・鹿児島大教授)は23日、今年度の県内最低賃金(時給)を790円に引き上げるとした鹿児島労働局(小林剛局長)への答申に対して、県労働組合総連合など6団体からの異議申出を却下し、前回の答申通り790円とすると再度答申した。

 労働者、経営者、学識経験者、それぞれの立場を代表する委員で構成される同審議会は今年度の最低賃金額の改定について、7月30日から計5回の専門部会を開催。8月7日に前年度の761円から29円引き上げて790円とすると答申した。これに対して県労組などは「790円では憲法25条が保障する健康で文化的な生活さえできない水準である」「優秀な人材の流出を防ぐためにも最低時給を上げなければならない」と時給1000円以上とすることなどを求める異議申出を行った。これに対して同審議会は23日に鹿児島市の県合同庁舎で審議。「これまでに十分審議をし尽くした」として異議を却下し、790円を再度答申した。

 審議会の石塚会長は「全国最低額をどう脱していくかの一方で、急激な賃金の引き上げは中小零細企業の経営を圧迫する。その狭間での今回の決定だった。人材流出に対する対策は別の施策を考えていきたい」と述べた。労働局の小林局長は「賃金の引き上げで中小零細企業のコストアップにどう対応するかが求められる。助成金などを活用し県や国と一体となって支援していきたい」と話した。今回の再答申を受けて、労働局は新たな最低賃金を9月3日に決定し、10月3日から適用する予定としている。