100年ぶり奄美大島で「ホソバノキミズ」発見

環境省レッドリストの絶滅種、ホソバノキミズ(田金秀一郎特任助教提供、10月24日撮影)

鹿大総研博物館、研究グループ
絶滅種「保全のため調査進める」

 環境省レッドリストの絶滅種に表記されるイラクサ科の小低木、ホソバノキミズがこのほど、約100年ぶりに発見された。鹿児島大学総合研究博物館の研究グループの報告によると、長らく自生に関する記録がなく、沖縄で1887年、奄美大島で1910年と24年の標本が残っているのみだという。同研究グループの田金秀一郎特任助教(40)は「今後保全のための調査を進めていく」と述べた。

 発見場所は奄美大島の標高30㍍に位置する常緑樹林の枯れ沢沿い。生息範囲は約6平方㍍に渡った。高さは約1・5㍍で、同研究グループは一枝を標本として採集し調査を進めている。特徴は葉の縁がギザギザとして、左右非対称であることや、茎に密に剛毛があること。奄美の自生地は国内における分布の北限。湿地帯を好み、国外の分布は中国、台湾、ベトナム、タイなど東・東南アジアを中心に広範囲だ。

 希少性の高さから詳細な発見場所の明示は控えたが、花は数㍉程度と目立たないことから盗掘の可能性は低いとした。花が咲く季節や繁殖率なども今後調査するという。

 田金特任助教は長年発見されなかった理由を「あまり目立つ色味や形状ではないこと、元々の個体数が少ないこと」などと推測した。

 約30年前から奄美の植物を調査研究・撮影している写真家の山下弘さん(69)は「貴重な情報に驚き。『ホソバノ』と呼ばれるくらいなので在来種のキミズより葉が細いのではないか。今後違いを調べて調査に協力できたら」と話した。