グリーンストア入舟店。レジ付近に政府提供のポスターを掲示
イオンプラザ大島店で販売しているマイバスケット
プラスチック製のごみを削減するため、7月1日から、スーパーやコンビニなどの小売店で、プラスチック製のレジ袋の有料化が義務づけられる。昨年の12月27日に政府が有料化を決定。島内で先駆けて進めている店舗もある。奄美市内のスーパーの利用客からは、「仕方がない」といったあきらめの声はあったものの、「有料化は自然な流れ」「たくさん買い物した時にはエコバッグやマイバスケットの方が便利」などと前向きな意見も多く聞こえた。世界自然遺産登録を目指す奄美では、同取り組みをひとつのターニングポイントとして、環境保全への更なる意識向上が求められる。
奄美市名瀬に本店を構える㈱グリーンストア(里綾子代表取締役社長)は、5年ほど前からレジ袋を辞退した客にエコポイントを付与する試みを行ってきた。しかし「それによる効果は実感できなかった」と里社長は話す。その他にもオリジナルのエコバッグの制作・販売や、政府が提供するポスターを掲示するなどして、マイバッグを推奨してきた。今月中旬からは、同入舟店の2階にある100円ショップでエコバッグの販売キャンペーンを実施している。有料後は、2Lサイズのレジ袋を3円、3Lサイズを5円で販売する予定。里代表は、「ウミガメがプラスチックの影響で苦しんでいる事実を知り、真剣に取り組んでいかなければならないと思った」と表情を引き締めた。
イオンプラザ大島店(武宮愛一郎店長)では、島内では先駆けて昨年9月から有料化を実施している。「有料化前のレジ袋辞退率は約20%。有料化後の昨年9月は約50%、現在は70%ほどに上がっている」という。無料配布していた時は「他県からの移住者や、旅行の利用客から、無料であることに驚かれていた」という武宮店長は、「有料化に踏み切ったときは『利益優先なのか』との声があったが、丁寧に説明をしてきた」と話す。イオンプラザでは、レジ袋の収益金は自然保護団体に全額寄付をしている。2019年は九州地区で600万円の寄付を行ったという。「大量の買い物をする際には、マイバスケットが便利。利用客からも好評」と武宮店長は紹介した。
一方、「対応がスピーディーで便利」を強みとするコンビニ。ファミリーマート名瀬平田店(横山龍一店長)は、本社の規定に沿いながら、さまざまな工夫を凝らし、利用客への理解を求めている。横山店長は、有料化が決定してから「レジ袋を辞退する人は増えてきている印象」と話す一方で、「昼、夕方は一度に購入する量が増えるため、レジ袋を利用する方は多い」現状という。
レジ袋は現在の7種類から、バイオマス素材を30%配合した4種類に集約し、一律3円で販売する。課題となっているのが、エコバッグを利用する際、「どこで」「誰が」商品を詰めるのかということだ。㈱南九州ファミリーマート運営部の運営推進課・奄美大島駐在の橘直輝さんによると、現在レジ横に利用客自身が商品を詰めるスペースを確保する案を調整中という。「スピーディーにレジ対応を行うために、お客さま、スタッフ間のコミュニケーションが今まで以上に必要」と橘さんは強調した。
(鈴木菜津希)