塩田知事が初登庁

大勢の県職員らが迎える中初登庁した塩田知事

「1年目の新人のつもりで」

 【鹿児島】新しく県知事に就任した塩田康一氏(54)が28日、県庁で初めての公務に臨んだ。県庁講堂であった就任式で塩田知事は「入庁1年目の新人のつもりで、県政の課題に取り組んでいく」と決意を述べた。

 午前9時半に公用車で県庁に到着。ロビーでは県職員や支援者らが大勢かけつけ、拍手で迎えられた中、初登庁した。

 就任式では県職員約100人の前であいさつ。「経産省で30年の行政経験があるが、県の仕事は皆さんが先輩。県政には様々な課題があり、皆さんの知恵を出し合って、県政の発展に尽力していただきたい」と激励した。

 「県民の声を聞く」「県民が主役の政治」という三反園訓・前知事の言葉を引用し「必ずしもそういう県政になっていなかったのではないか」と批判。「県民の声が実際に政策に反映される政治を目指す」と強調した。

 「私1人で何でもできるわけではない」として県職員に協力を呼びかけ「年齢や立場に関係なく、自由に意見が言える風通しの良い職場を作っていきたい」と意気込みを語っていた。

 初庁議に臨んだ後、就任会見。新型コロナ対策や経済政策、離島振興政策、原発政策などについて持論を語った。

塩田知事一問一答

就任会見に臨んだ塩田知事

「コロナ対策と経済活の両立」
離島振興 「本土との格差をなくす」

 就任会見での塩田知事の一問一答は以下の通り。

 ―初当庁した心境は?

 「当選直後は実感もわかなかったが、事務引継ぎをして、きょう県職員の皆さんとも顔合わせをして改めて実感がわいた。県民1人1人の力で知事にさせてもらったので、その期待に応えたい」

 ―鹿児島の現状をどのように考え、どうしていきたいか?

 「これまで内閣府の地方創生担当、九州経済産業局長をしてきて、鹿児島に限らず、地方は少子高齢、人口減少の厳しい状況にある。これにコロナの影響も加わって更に厳しさが増し、県民も不安に思っている。

 当面の課題はコロナの感染拡大を食い止めること。検査体制を充実させ、医療体制を万全に整える。その上で経済活動の両立を図っていくことが重要になってくる。

 基幹産業である農林水産業、観光業の基盤を作りつつ、そのほかの産業振興にも取り組んでいきたい」

 ―奄美群島を含めた離島振興についての考えは?

 「私自身も奄美で暮らしたことがある。産業面、教育面などまだまだ様々な分野で本土との格差がある。これをいかになくして、暮らしやすい島をどうつくっていくかに取り組みたい」

 ―具体的に取り組むことは?

 「島々によって特徴がある。基幹産業の農業に関しては付加価値の高いものをどう作っていくか。輸送コストの問題もあって難しい面もあるが、積極的に取り組んでいきたい。教育面に関しては、オンラインなどの活用が格差是正のヒントにもなっている。そういったアイデアを施策に生かしていきたい」

 ―奄美の世界自然遺産についての考えは?

 「コロナ等の影響もあって登録が遅れているが、粛々と準備を進めていけば必ず認定されると期待している。認定されることによって世界の人々に奄美の自然の素晴らしさが伝わる。まずはその自然を保全することに取り組んだ上で、それを壊さない範囲で奄美に人がやってきて地域振興につなげていきたい」

 ―鹿児島国体についてはどう考える?

 「国体に関しては長年準備してきた人たちの思いがある。またアスリートの人たちも熱い想いを抱いている。その想いに応えられるよう、鹿児島で開催する方向で準備を進めていきたい」