障がい者への「合理的配慮」意見交換

障がい者への「合理的配慮」について意見が交わされた(22日、奄美市役所)

建設的対話で対応を
奄美市差別解消支援協

 「2024年度奄美地区障害者差別解消支援地域協議会」(同地区地域自立支援協議会主催)が22日、奄美市役所会議室であった。24年4月施行の「改正障害者差別解消法」で、行政機関と民間事業者による障がい者への「合理的配慮の提供」が義務化されたことを受け、法的な根拠などを学び、情報を共有した。商業・観光施設、公共交通機関、行政関係者など約30人が参加し意見を交わした。

 奄美大島商工会議所などが加盟事業者を対象に行った同法の認知度調査によると、回答のあった39件のうち「法律を知っている」と答えたのは8件、そのうち「合理的配慮の義務化を知っている」と回答したのは5件にとどまった。

 アンケート結果を受け参加者は「改正法を知ってもらう工夫」などについて意見交換を行った。民間事業者からは「管理部門から各部署へ横断的に周知を図っている」などの意見が挙がった。

 県大島支庁地域保健福祉課障害者くらし安全相談員の葛原香さんが直近の相談について事例発表。電動車いすは「障害者総合支援法」に基づく「補装具」にあたり、小売店などが入店拒否することは障がい者差別にあたるとする見解を示した。

 そらうみ法律事務所の青松淳紀弁護士が「事例で考える障害者差別解消法」と題し講演。同法が定める「差別的取り扱い」について、①障がい者に対して②障がいを理由として③財・サービス・機会の提供を拒否することにより④権利・利益を侵害することと定義。

 合理的配慮の提供には「建設的な対話」によって、事業者と障がい者の相互理解による対応が重要だと論じた。

 出席者からは「単なる思いやり、結いの精神だけでは足りないことを知らされた」という声が聞かれた。

 リゾートホテルを経営する㈱ばしゃやま村の奥圭太社長(48)は「法的根拠や配慮事例を聞き、気づきになった。以前は、車いすの人が海に入る遊具を導入していたが、安全面の問題が生じたため中断している。講習会を開き、要望に応えられるよう対応していきたい」と話した。

 同協議会の長井和揮会長(同市福祉政策課長)は「合理的配慮は相手に対する敬意が大事。事例を共有し差別解消に努めたい」と述べた。