国道58号おがみ山トンネル

来月の掘削開始を前に神事による安全祈願祭が行われた

発注者を代表して松藤啓介・県大島支庁長があいさつ、トンネル工事・バイパス整備の意義などについて述べた

掘削開始へ安全祈願祭
名瀬真名津町地内 周辺住民生活配慮、防音対策

 県は、国道58号の奄美市名瀬真名津町地内で、おがみ山トンネル(延長1225㍍)の工事を進めている。土や岩石などを掘り取って穴を開けるトンネル掘削着工(来月開始)を前に18日、安全祈願祭があった。掘削工事は2年後の2027年12月に完了を目指すが、住宅地に面していることから周辺住民の生活環境に配慮し防音ハウスを設け対策を施している。

 安全祈願祭は掘削工事を進める大成・植村・村上・大和特定建設工事共同企業体の主催。県議会副議長で奄美市区選出の永井章義県議、松山さおり県議、地元奄美市の安田壮平市長、奥輝人議長、県関係者、施工関係者ら約50人が参加した。

 施工の安全を祈願する神事の後、発注者の県を代表して大島支庁の松藤啓介支庁長があいさつ。鹿児島市を起点に種子島を経由、奄美大島から那覇市(沖縄県)に至る主要幹線道路の国道58号について「地域の生活を支える重要な道路だが近年、奄美市街地においては域内の発生交通や域外からの通過交通で混雑が著しい状況。慢性的な交通渋滞の発生や交通事故の多発など円滑で安全な交通の確保が課題」とした上で、「(改善に向けて)県では約1・2㌔㍍のおがみ山トンネルを含む約1・8㌔㍍区間において02年にバイパス工事に着手した。整備により交通混雑緩和・事故減少、災害時等の迂回(うかい)路確保のほか、奄美大島における産業振興や交流の促進がさらに図られると期待している」と述べた。

 来賓を代表して安田市長、施工者を代表して大成建設㈱の西河誠・執行役員九州支店長があいさつ。国道58号が奄美市で供用開始して50年の節目にトンネル着工となることや、掘削開始にあたり昨年3月から地盤改良工事や防音ハウスの設備工事といった準備が進められ、名瀬真名津町から同永田町に向かって掘削が進められることが説明された。

 大島支庁建設課によると、バイパス事業費は約185億円(国負担8割、残り2割が県負担)。トンネル内の幅員は6・5㍍(歩道、路肩、管理歩道含め10・46㍍)。約1・2㌔㍍の長さは奄美大島のトンネルでは長瀬トンネル(大和村、約1・4㌔㍍)に次ぐ8番目の長さで、同島内の県管理トンネルとしては41番目となる。掘削工事の完了後はトンネル内の舗装工事、電気関係設備工事などがあり、供用開始時期は未定で「一日も早い完成に向けて取り組む」(同課・増田貴文課長)としている。施工は資材価格高騰などの影響を受けており、掘削開始時期も昨年夏時点では今年2月を予定していたが、2か月遅れての実施となる。

 なお、奄美市の区画整理事業などとも連動して02年度に開始した同事業は、「地元の合意形成が不十分」などとして09年度から中断。早期整備を求める市の要望もあり19年度に再開され、用地買収のほか、トンネル前後の取り付け工事などが23年6月に進められた。バイパス整備後、現在の国道は区域変更され、和光トンネルを抜けてすぐの永田橋交差点から末広交差点部分まで延びる(現在の左折が直進に)が、その後はトンネル内の通行が可能となり利便性が増しそう。