「知っておきたい認知症」と題し、軽度認知障害などについて解説した髙口剛県立大島病院脳神経科部長(17日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA)
認知症の正しい知識を学ぶ市民公開講座「知っていますか?脳の健康!!」(大島郡医師会・奄美薬剤師会・奄美市共催)が17日、同市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)であった。県立大島病院の髙口剛(たかぐちごう)脳神経科部長(日本神経学会専門医)が講演。認知症の前駆症状と言われる「軽度認知障害(MCI)」の初期症状、診断~治療の流れ、〝非薬物療法〟などについて専門医の立場から解説した。病気への関心は高く、約110人が聴講した。
MCIとは、健康な状態と「認知症」の中間の状態。記憶や判断などを行う脳の認知機能の低下が見られるものの、日常生活に支障がない状態を指す。
患者の約5~15%が1年で認知症に移行されると言われる一方、約16~41%の人が健常な状態に戻ることも分かっている。
MCIで見られる症状は、▽新しい家電を使いこなすのに時間がかかる▽前日の食事(メニュー)が思い出せない▽仕事上のミスが増えた―など。
髙口部長は「早期に対策を行っていくことが重要。適切な予防策を講じることで、回復することも、進行を遅らせることも可能」と話した。
同病院には「物忘れ外来」があり、毎月奇数週の金曜日に新規患者の予約枠2枠を設け診察にあたっている。初診の際に重要となるのが家族の客観的な情報(観察)。そのため、家族にも問診票の記入を行ってもらっているという。
その後の診察は、ガイドラインに沿って行われるが、ほかの脳疾患との鑑別を行うため、頭部CTや頭部MRIによる画像診断なども行われる。
これは、認知症の約10%が〝治療可能な認知症〟とされるため。ホルモン異常やビタミン欠乏によるものや、別の脳の病気が原因となっているものがあり、適切な治療を行えば治る場合もあるという。
また、治療の種類の一つに「非薬物治療」があるといい、音楽療法や運動療法などで残存している認知機能を維持・改善することで、「進行を遅らせ、精神的な安定につながる」と話した。
同病院では、アルツハイマー病の原因物質(アミロイドβ)を除去する新薬を今月から導入。すでに70歳代の患者への投与を行ったことも明らかにした。
認知症と診断された母親を約10年間介護したという奄美市の77歳の女性は「90歳を過ぎ、徘徊(はいかい)の症状があった。当時は病気だという認識がなかった。知識があれば、もっと優しい対応ができたかもしれない」と話した。
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市高齢者福祉課によると、同市の高齢化率は2025年8月時点で35・14%(名瀬33・14%、住用53・49%、笠利44・37%)。22年の認知症高齢者は11・1%。
名瀬・住用・笠利の包括支援センターが、認知症の総合相談窓口の役割を担っており、専門機関やサービスとの接続も行う。
他に物忘れ外来のある病院は、▽奄美病院▽大島郡医師会病院▽名瀬徳洲会病院▽ファミリークリニックネリヤ。

