ノネコ譲渡希望者募集開始

奄美大島の山中に生息するノネコ。7月中旬から環境省による捕獲が始まる=資料写真=

施設運用7月中旬 虐待防止などにも配慮
奄美大島対策協

 奄美大島5市町村からなる、奄美大島ねこ対策協議会(平田博行会長)は14日から、ノネコ管理計画によるノネコの譲渡希望者の募集を開始する。同協議会によると、譲渡には審査が必要で、今月28日に第1回の申請者選考を行うとしている。また奄美市名瀬の一時収容施設を「奄美ノネコセンター」と命名。環境省によるノネコの捕獲と、センターの運用開始は7月中旬を予定している。

 環境省、県、島内5市町村は今年3月に「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」を策定。ノネコが奄美大島の生態系に対して及ぼす影響を排除し、発生源対策を講じ、生態系保全を目指す。今後は計画に基づき、環境省が捕獲した個体を同協議会が一時収容し、希望者(個人、団体)に譲渡するとしている。

 希望者は同協議会が設置する審査会による審査を受ける必要がある。審査終了後、講習会を受講し、センターで開かれる“マッチング”により譲渡を決定。島内の動物病院で避妊手術を終了させた後に引き渡しが行われる。

 同計画内で捕獲後1週間のうちに譲渡先が決定しなかった個体は安楽死させるため、マッチングを週1回以上開催予定。捕獲からマッチングまでの間に血液検査を行い病気の状態などを確認する。譲渡後も譲渡先に飼養状況の報告を求め、譲渡1カ月後、2カ月後、6カ月後、1年後とそれぞれ報告書の提出を義務付け、虐待や非適正な飼養の未然防止につなげる。
 引き受けた個体を一時的に飼養し、二次的に譲渡する目的の団体にも譲渡可能。団体に対しては飼養設備の規模や過去の実績なども対象とした審査を行う。団体から二次的に譲渡した場合にも報告書の提出を求める。

 引き取り個体の血液検査、不妊・去勢手術に関しては同協議会が負担。手術後の入院費、義務付けられるマイクロチップの装着などは飼養者負担となる。

 環境省による捕獲は7月中旬ごろ開始予定。それに伴いセンターの運用開始、マッチングをスタートさせるという。捕獲頭数は18年度中に270頭を予定している。

 平田会長は「希少生物を守り、ネコを安楽殺せずに済むよう、対策していかなければならない」。環境省奄美自然保護官事務所の岩本千鶴自然保護官は「官民ともに連携しながら問題収束を目指す。譲渡に協力いただければ」と呼び掛けた。

 申請は5市町村のホームページ(掲載は午前10時)から申請書・誓約書を印刷し、必要事項を記載。そのほか身分証の写し、納税証明書、所得証明書など必要書類を揃え、〒894―8555、奄美市名瀬幸町25番8号、奄美市環境対策課内奄美大島ねこ対策協議会宛てに郵送、もしくは持参にて受け付ける。

 問い合わせは電話0997―52―1111(内線1241、1246)(同協議会事務局)まで。