初めての雪上で絆育む

初めての雪上で絆育む

初めてのスキー場で、懸命に練習に励む児童たち(提供写真)


憧れの雪でスキーに徐々に慣れて、笑顔を見せる児童も(提供写真)


リフトで上の方に向かい果敢なチャレンジに向かう姿も見られた(提供写真)


ベルデ軽井沢で行われた交流会で、「八月踊り」などを披露する児童たち(提供写真)

名瀬小少年使節団=東京・中村小と交流
長野・軽井沢など舞台に

 【東京】「もっと一緒にいたかった」――。春を告げるヒカンザクラを眺めながら、新中学生への希望を胸に登校をしている島の児童たち。そんな彼らの中で、この冬に長野県の軽井沢を舞台に東京の小学生と熱い交流をした子どもたちがいる。写真と、引率者、参加した児童らの声を基に友情が交わされた4日間を振り返る。

 昨年12月21日夕方、羽田に到着したのは、奄美市の名瀬小学校(福田章二校長、全校児童384人)から選ばれた10人の児童たち。「少年使節団」として同校が交流を続けている、練馬区立中村小学校(井上靖校長、全校児童1007人)を訪問したもの。

 奄美群島日本復帰65周年を記念して派遣された彼らを、練馬奄美会と中村小学校の関係者が笑顔で迎えた。使節団一行はモノレール・大江戸線に乗車して練馬に到着、宿泊先の区立開進第二中学校セミナーハウスへ。

 夕食後、区関係者に「八月踊り」「断食悲願」そして「名瀬小学校の歴史や様子」を披露した。22日、中村小学校を訪問した彼らは、奄美市から贈呈され植栽した「ソテツ」を見学した。

 一方、中村小学校からは、5、6年生の男女2人ずつ、計8人が 参加。全員で記念撮影 した後、引率者を含めた一団は、一路バスで軽井沢を目指した。

 途中で横川名物の「峠の釜めし」を積み込んで、長野の宿泊先「ベルデ軽井沢」に到着後、それを平らげ、午後からは待望のスキー体験。服装の準備、スキー靴のはき方など、覚えることの多さに苦戦しながら、宿舎からバスで40分ほどの「湯ノ丸スキー場」に向かった。

 児童らは雪の上でスキー板を付け、ストックを持ったりの初歩的な練習をこなした。夕食後は、交流会へ。名瀬小学校の児童らはここでも、「八月踊り」「断食悲願」などを熱演した。

 23日は、朝食後にスキー場に出発、夕方まで雪上で奮闘した。2日目とあって、ほとんどの人が滑ることができるようになり、リフトで登り、上から格好良く滑り降る児童もたくさんいたという。

 24日、飛行機の関係で、信濃追分駅で別れることとなった児童たちは、大歓声の中、電車が見えなくなるまで見送られながら帰路に就いた。初めての雪上で交わされた友情に寄せられた感想の一部を紹介する。

 「難しかったが、良い体験だった」「不安だったが、優しい先生がアドバイスしてくれたので、すぐに上達できた」「いつも触れることができないものに触れられて、良い体験だった」「何回も転倒したけど、慣れたら楽しくてワクワクした」(名瀬小児童)。「もっと一緒にいたいくらい楽しかった」「気が合う友達ができた」(中村小児童)。

 引率した大人からは「奄美の皆さんが、心から楽しんでくれたことが、うれしかった」「行きのバスやスキー場に向かうバスの中では、すっかり打ち解けた様子でした」(練馬からの引率者)。「大人同士もとても仲良くなり、本当に楽しい思い出になりました」「スキーだけでなく、たくさんの人と知り合えたことが、一番心に残っています」(奄美からの引率者)などの声が聞かれた。初めての雪上で交わされた絆は、次の世代へ引き継がれていく。