正しい理解による対応を

場面緘黙に関する講演を行ったかんもくネット代表の角田さん

かんもくネット代表「場面緘黙」講演会
治療後に7割は改善

 話したいのに話すことができない症状が出る場面緘黙=かんもく=に関する講演会(社会福祉法人三環舎など主催)が22日、奄美市名瀬の奄美文化センター会議室であった。講演を通して、参加者は場面緘黙の症状や対応などの理解を深めた。場面緘黙の対応は発話を強制するのでなく、さまざまなコミュニケーションを図り場数を多く踏んで経験を有することが望ましいとした。

 講師を兵庫県でスクールカウンセラーなどを務める、かんもくネット代表の角田圭子さん(臨床心理士)が担当。「場面緘黙への理解と対応~園や学校でおしゃべりできない子どもたち~」と題してスライド資料や動画で、場面緘黙の症状や基本的な対応などを解説した。

 角田さんによると、場面緘黙は不安障がいの一種で、発現率は0・2~0・5%ほど。特別支援教育・発達障がい支援法の対象で、発症要因は過保護ではなく、複合的で生まれつき繊細で不安になりやすい気質にあるという。

 緘黙症状のある子どもは、話さないのではなく話せないということに理解が必要と指摘。
角田さんは「場面緘黙には発達障がいと併存する複合的なものあり、正しい診断と支援が必要」と訴える。

 改善には早期発見・早期対応が重要とし何らかの治療を受けた場合、約12年後に「緘黙症状」の7割が改善するという。周りの人に理解されて心がふれあった体験がその子どもの宝になるとして、さまざまなコミュニケーションを取ることなどを提言した。

 支援する時のコツとして▽少しの進歩を大切に▽発話ばかりに注目しない▽目立たない支援・子どもに寄り添った支援▽シンプルな言葉かけ▽家庭と学校と専門機関の連携―などを例示した。

 講演後に質疑があり、就労支援施設関係者から「筆談以外の対応に、どういう方法があるか?」と問われ、角田さんは「どういう時に症状が出るかなど見極め、徐々に選択肢を増やしてコミュニケーションを取ってみて」などとアドバイスした。