18年度マングース防除事業

 
奄美大島生息数10頭以下と推測
わな捕獲は90%減少の1匹
3年後の22年度までに完全排除へ

 

 環境省沖縄奄美自然環境事務所は26日、2018年度奄美大島におけるマングース防除事業の実施結果を発表した。わなによる捕獲数は1匹で、17年度(捕獲数10匹)よりも約90%減少。継続的にマングースが減少していることから、「奄美大島における現在の生息数は10匹以下になっていると考えられる」と推測している。19年度も「第2期奄美大島におけるフイリマングース防除実施計画」に基づく防除事業を行い、3年後の22年度までに奄美大島からの完全排除を目指す。

 18年度の捕獲作業実施結果によると、投入された捕獲努力量は17年度よりも約6%減少し、約260万わな日となった。生息密度を「相対的に反映すると考えられる」CPUE(1000わな日あたりのマングース捕獲数)は0・0004で、17年度よりも90%程度減少、「全島的な低密度化が進んだものと考えられる」としている。

 17年度にマングースの捕獲があった大和村嶺山、同中山における捕獲はゼロとなり、わな作業での捕獲は奄美市名瀬小湊に限定された。同事務所は「これまでの防除事業の成果により全島的な分布の断片化が一層進んだものと考えられる」と考察している。

 マングース探索犬によるマングースの捕獲はゼロ。探索に費やした延べ日数(889ペア日)は17年度(1255ペア日)に比べ減少した。

 このほか、▽島内424地点にセンサーカメラを設置。化学的防除を実施した嶺山地区(大和村)で3月に撮影されて以降、マングースの撮影は確認されておらず、マングースの減少傾向および生息密度の低下が示唆された▽アマミトゲネズミおよびケナガネズミ、アマミイシカワガエルなどの在来種は、これまでの防除事業の成果により生息状況の回復傾向が確認されている―を挙げている。

 19年度の防除事業計画については、これまでの事業の結果、「捕獲やセンサーカメラでの撮影は1年以上確認されておらず、全島からの完全排除に大きく前進したと考えられるが、残存個体群が生息している可能性も否定できない」と指摘。19年度は、▽引き続きわなによる十分な捕獲圧の確保とマングースの生息状況の把握・効率的な捕獲のための探索犬による対策を実施▽根絶確認手法について引き続き検討し、検討状況に応じた捕獲作業計画や探索犬の運用等により必要なデータ集積―に取り組んでいく。