奄美の自治体 時期の早期決定を要望

倉庫に保管されたままの横断幕やカウントダウンボード

国体、23年開催で佐賀県と調整
延期で会場運営など見直し

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け延期となった第75回国民体育大会(かごしま国体)と第20回全国障害者スポーツ大会について、塩田康一知事は2023年の開催が内定している佐賀県に、同年の開催を鹿児島で行うことへの協力を求めている。現在、スポーツ庁や県などの間で協議が行われているが、開催時期などは決定しておらず、受け入れ準備を進めてきた自治体からは、組織運営の見直しや延期に伴う負担増などに懸念と戸惑いの声が上がっている。

 奄美群島では奄美市の相撲と天城町のトライアスロンのほか、公開競技として知名町でパワーリフティングの開催が予定されていた。

 奄美市は17年度、行政や民間団体などでつくる国体実行委員会を設立、会場となる同市住用町の奄美体験交流館の改修工事など、国体関連予算として17~19年度の3年間で約8736万円(うち県補助金1196万円)の事業費を支出するなど開催に向けた準備を進めてきた。

 20年度は1億5287万円(同4287万円)を盛り込んだが、開催延期が決まり予算のほとんどが未執行のまま、今後、一般会計予算から減額補正される見込み。市役所倉庫には延期発表後撤去されたカウントダウンボードや一度も設置機会がなかった横断幕などが保管されている。

 開催延期について、市教委スポーツ推進課国体推進室は「新型コロナの影響を考えると仕方ない。中止でなく延期で良かった」とし、県が23年の開催を模索していることについては、新型コロナウイルスの感染対策などの準備に十分期間があることを利点として上げる一方、市民の国体への機運を3年後まで持続させることへの懸念を示した。

 昨年8月には、かごしま国体のリハーサル大会として第58回全国教職員相撲選手権大会を開催。会場設営やボランティアの配置など、国体本番を見据えた運営体制の最終確認を行ったが、同推進室は「今後開催される国体では、新型コロナ後の新しい生活様式を踏まえた大会になる。会場設営を含め、ゼロから計画を練り直す必要がある」と話す。

 国体は、来年秋の三重、22年の栃木が予定通り開催を予定しており、佐賀県との調整が整えば23年の開催が濃厚となる。同推進室の永井信也室長は「できるだけ早く開催時期を決定してほしいが、市としては、開催時期がいつになっても万全の態勢で相撲競技を行えるよう準備するだけ」と話した。