高齢者施設、クラスター警戒 予防対策徹底呼び掛け

町内の感染者発生を受け、面会自粛が続く特別養護老人ホーム「奄美の園」

「持ち込ませないこと第一」
県老施協大島支部

 今年に入り鹿児島県内では高齢者施設などの新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)発生が目立っている。奄美大島内の施設でも対策を強化しつつ警戒を強める一方、「明日はわが身」と業界の人手不足や対応の難しさに苦心する声も聞こえる。県老人福祉施設協議会大島支部の勝島洋臣会長は「できる限りの対策は徹底している。まずは施設に持ち込ませないことが第一」と予防対策の徹底を呼び掛けている。

 勝島会長が施設長を務める瀬戸内町古仁屋の特別養護老人ホーム「奄美の園」では、職員の出勤時の検温や施設の消毒作業などに加え、職員らも自主的に外出などの行動を自粛。町内で感染者が発生した14日には、入居者家族の面会も中止した。「感染者が出たら施設運営が機能しなくなる恐れもある。(離島で)病床も限られ感染者がすぐに入院できるかも心配だ」と勝島会長。施設では基礎疾患のある入居者がほとんどで、感染を防ぐと同時に生活を守ることが不可欠だ。

 県によると25日までの累計患者数は1543人で、24日現在128人が入院。入院患者は重症化リスクの高い80歳以上の高齢者が4割を超え、死者はすべて65歳以上だという。

 県老人福祉施設協議会は、県の支援などを踏まえ地区(支部)で対応するよう通知してきた。同大島支部でも、会員事業所への衛生用品・防護用品の提供などは取り決めたが、事業所間で相互に職員を応援で動かすような対応については「施設の規模にもよるだろうが、島は慢性的な人手不足。他の法人などに応援してもらうのは難しいだろう」とも話す。

 高齢者施設の徹底した感染症予防対策は、感染拡大の抑制に大きく貢献してきたが、施設内にて感染者が発生した場合でも、必要な介護サービスが継続的に提供できる体制は重要になる。「万が一発生した場合でも最低限継続ができるよう、県とも応援体制など話し合わなければならない」と勝島会長。「地域の自治体とも正確でいち早く情報が得られるよう情報交換を進めながら、気を緩めることなく感染防止策を講じていきたい」と話した。