ミカンコミバエに関する今後の対応や奄振予算などについて説明する金子衆院議員
自民党の金子万寿夫衆院議員=鹿児島2区=は24日、奄美市名瀬の県大島支庁で記者会見を開き、奄美大島へ再侵入しているミカンコミバエ問題や12月に示される2016年度当初予算案にかかる奄美群島振興開発予算について説明した。金子議員は移動規制に伴う対象品目の廃棄命令による生産補償について、今月末をめどに制度が決まる見通しを示したほか、今後の対策として地元側に対し、「放任園などの監視や防除体制の強化が必要」と強調した。
金子議員はポンカン、タンカンの廃棄命令による生産補償について、「補償を決めないと問題は前に進まない。今週中にはまとまってくるのでは。農家、市町村、県が一体となって早急に取り組んでいただきたい」と要請。補償時期や品質に応じた段階的な金額の設定などが盛り込まれる見通しを示した。
生産農家が求めている果実の早期収穫・廃棄についても、「(今期産は)どのみち廃棄命令が出る。農家の意向に沿って近日中に作業が進められるよう話が進んでいる」と説明。門司植物防疫所が発表している群島内の誘殺状況で、最新(今月10~16日)の1週当たりの誘殺数が5週間ぶりに100匹を下回ったことを上げ、「防除効果が出てきている。地元選出の議員として、(夏頃に収穫する)スモモやパッションフルーツ、マンゴーなどの販売に影響が出ないように、根絶を実現したい」と青写真を描いた。
今回のミカンコミバエ急増について、「過去に根絶したミバエに対し、行政や農家、マスコミなどを含め、警戒心を持っていなかったことが課題」と指摘。南方からの飛来で侵入したミバエの情報共有や強固な防除体制を構築する沖縄県の事例を引き合いに出し、「今回のケースを教訓に、放任園の維持管理を含め、現地対策本部を中心とした監視・防除体制の強化に向け、制度設計をしっかりしないといけない」と話した。
12月に示される奄振関連予算案に関し、8月に奄美振興交付金24億円を概算要求した。金子議員は「当初予算をベースに次年度以降の概算要求額が変わるため、我々にとっては発射台として重要。16年度で今までの当初予算を上回る交付金額を確保できるかが焦点になる」と強調。
目玉施策として、同交付金の交流需要喚起対策特別事業を活用して10月から実施している沖縄と奄美の航路・航空路の運賃助成について、来年度から奄振、沖振予算の双方を活用し、通年型の助成制度を確立する方向で同県と調整しているとした。また沖永良部島や与論島のソデイカを両島の戦略品目とし、農林水産物輸送コスト支援事業の対象品目に組み込むことを検討しているとした。
金子議員はこのほか、世界自然遺産登録による交流人口拡大を見据えた新たな産業振興に対するメニュー創設を提案。特に今後成長が見込まれる観光関連産業への支援を上げ、地元側に対し、「人口減少社会に歯止めをかけるのはやっぱり雇用の場をつくる必要がある。そういった政策転換も求められる」と提言した。