国立公園と世界遺産登録説明会

宇検村で行われた「みんなで考えよう世界自然遺産」

宇検村皮切り 奄美大島市町村
「地域の誇りになる」

「みんなで考えよう世界自然遺産」(環境省那覇自然環境事務所主催)が2月29日、宇検村元気の出る館を皮切りにスタートした。奄美群島国立公園(仮称)区域案などを示しながら、国立公園指定や世界自然遺産登録の現状などを説明。質疑応答では「(国立公園指定に向けて)地権者の同意についての進捗率は」などの質問もあった。

同会は奄美大島に住む人を対象にした、国立公園指定と世界自然遺産登録に関する説明会。5市町村すべてで実施する予定で、鹿児島大学特任教授の星野一昭さんが「世界自然遺産と地域のかかわり」をテーマに講演した。

星野さんは世界遺産登録の歴史を振り返りながら、「最初に遺産ブームを作ったのは鹿児島県。屋久島出身の人からは、遺産登録をきっかけに、『誰もが屋久島を認識してくれるようになって、うれしかった』という意見もあった。遺産登録というのは、地域の誇りにつながっている」などと語った。

講演の後には大和村にある環境省奄美野生生物保護センターの鈴木祥之上席自然保護官が国立公園指定について説明。現在、考えられている奄美群島国立公園(仮称)区域案の地図を示しながら、「現在の海岸を中心とした国定公園を状況によって編入。陸地は中南部を中心に希少な生き物がいるので、宇検村の場合は湯湾岳を含む東側エリアが特に重要になる」などと語った。

質疑応答では、参加者から沖縄県の国立公園化が進んでいることから、奄美に関する不安の声も。鈴木さんらは「地権者との話については一歩ずつ前に進んでいるということしか伝えられない」としながらも、「今年に入り、やんばると西表島は目途がついたところ。環境省でも、奄美群島の国立公園化をなるべく早く進めたいと思っている」と語った。また、教育関係者からは「教育の場で出来ることはないか」と質問も。星野さんは「地元の人が地元の自然を知ることが一番大事。子どもたちには積極的に奄美にどんな自然があるのか、生活との関わりなど、自然の大切さと怖さを教育してほしい」などと語った。

同会は1日に大和村でも実施。15日には奄美市(AiAiひろば2階)、16日に龍郷町(役場会議室)、17日に瀬戸内町(物産館2階)で開催。時間はいずれも午後6時半から同8時まで。参加費無料で事前申し込みも不要。

問い合わせは同センター℡0997‐55‐8620まで。