国有林野の保全管理計画まとめる

奄美群島森林生態系保護地域位置図=林野庁提供=

林野庁、奄美群島策定
自然遺産登録、推薦書に添付

林野庁九州森林管理局は31日、奄美群島および西表島森林生態系保護地域の保全管理計画の最終とりまとめを公表した。自然環境の適切な保全・管理に向け、奄美群島の特質を踏まえた国有林野の保全管理計画をまとめたもの。今後は英訳し、世界自然遺産登録に向けて推薦書に添付される。

管理計画は2015年に策定。学識経験者など8人の委員で構成する保全管理委員会が、13年から計4回の委員会を開催し、協議を進めてきた。

奄美群島森林生態系保護地域の概要では、スダジイ(イタジイ)、イジュ、イスノキ、オキナワウラジロガシを含む原生的な天然林(亜熱帯性広葉樹林)であり、アマミノクロウサギやルリカケスなどが生育する重要性の高い地域と説明。希少なランなどの植物の盗掘や昆虫の密猟、ノヤギ・ノイヌ・ノネコなどによる捕食、外来種の侵入など懸念されていることなどを記した。

そのため、管理計画では奄美の現状を踏まえた個別課題として▽希少種・固有種などの保護▽外来種対策▽スギ人工林の取り扱い―などを挙げており、「盗掘・密猟対策、定期的なモニタリング調査による生息状況把握」「新たな外来種の侵入への監視、駆除作業」の実施など計画している。

このほか、同計画では「奄美大島は国有林が小面積で分散している。森林生態系の連続性を確保することが課題のため、保護地区に隣接する民有林との森林保全管理上の連携を進めるとともに、特定動物生息地保護林を森林生態系保護地域へ組み入れることも視野に入れて進めていきたい」としている。

同計画は必要に応じて見直す予定。保全管理計画の概要・全容は、林野庁ホームページに掲載。