加工品の成分分析で加工品の特性に理解を深める参加者ら
品質管理技術学ぶ
成分分析で特性理解
農産加工スキルアップ研修会(大島地域かごしまの〝食〟交流推進協議会など主催)が28日、奄美市名瀬の奄美看護福祉専門学校であった。大隅加工技術研究センター研究専門員の鮫島陽人さんが講師に招かれ、農作物の大量加工と長期保存をテーマに講演。参加者はより安全な商品を販売するための品質管理技術などについて理解を深めた。
研修会は近年、農産物直売所が活発になり、旬の作物を有効活用した加工品開発や長期販売戦略の工夫、品質管理技術の向上が求められていることから、農産加工の知識と技術向上を目的に開催。直売所関係加工組織や行政職員など約40人が参加した。
前半の講演で鮫島さんは、食品の保存性を高める方法として、①低温②加熱③低pH(ペーハ)④低水分⑤高浸透圧―を列挙。このうち、④では乾燥により「水分残量10%以下」を食品の長期保存の目安として紹介。乾燥時のポイントとして、▽湯通しによる酸化酵素の失活▽できるだけ小さく切断することによる時短―を挙げた。
また鮫島さんは「塩や砂糖を使用して食品の水分活性を低下させることで、微生物による腐敗や酵素による自己消化が抑制される」と説明。腐敗細菌の生育限界の目安として、砂糖は約60%、食塩約15%を示した。このほか、密封された食品の中で増殖するボツリヌス菌食中毒についての対策も解説した。
後半は加工業者が持ち寄った加工品の糖度、水分活性、pH値の成分を分析。参加者らは自社の加工品の特性について理解を深めた。加工品は成分分析値によって加工や流通の過程が変化することから、同協議会では今回の分析結果を集計し、後日、希望する生産団体に対し助言などを行う予定。