徳之島町文化会館「島学」

徳之島のドジョウの「新種可能性」などが示唆された「島学」講座=29日、徳之島町文化会館

「固有の新種」可能性示唆
徳之島のドジョウ報告

 【徳之島】徳之島文化塾「島学」(徳之島町文化会館主催)が29日夜、2氏を講師に同館会議室であった。福岡県保健環境研究所研究員の中島淳氏が演題「南西諸島のドジョウの実態」の中で、絶滅したと思われた「徳之島のドジョウ」を最近になって再発見。種類は沖永良部、西表島3島で共通、南西諸島のみに分布「新種の可能性が高い」と示唆し、保護対策も呼び掛けた。

 「島学」は、徳之島に関する各分野の専門家を講師に一般対象の無料講座。第30講座の今回は「日本全国、ドジョウを探す旅」調査研究を続ける中島氏のほか、九州大学決断科学センター准教授の鹿野雄一氏が演題「南西諸島における純淡水魚類の生息状況」でそれぞれ講演。中高年層を中心に約45人が熱心に聴講した。

 中島氏は、世界には約1050種(未記載含む)のドジョウが分布し、南西諸島で最も古い記録は『南島雑話』(1850年~1855年)であることも解説。徳之島からは近年記録がなく、絶滅したと思われていたが最近になって再発見(島内2カ所)、絶滅をまぬがれていたことを報告した。

 南西諸島から見つかった4種類(系統)は①中国大陸全域・九州の一部・奄美大島②九州全域・種子島・平島・南北大東島・宮古島③徳之島・沖永良部島・西表島=南西諸島にだけ分布、西表島は移入④台湾全域・与那国島・沖縄本島―の4グループに遺伝子と形でも区別。特に、③については「奄美諸島固有の新種の可能性が高い」と示唆する。

 再発見の場所は沖永良部島1カ所、徳之島2カ所のみ。喜界島や奄美大島は絶滅したと予想(奄美大島種は中国からの移入種)。徳之島古来の地方名「たあいゅう(田の魚)」の存在にも驚き、未発見の生息地が他にもあると予想。

 独自の進化を遂げた固有種のドジョウを守るには、他地域からドジョウを持ち込んだり、ティラピアやコイを放流したりせず、「この貴重なドジョウを次世代へ」と呼びかけた。

 鹿野氏は、南西諸島の純淡水魚は在来が約7種で近年になって大きく減少し、移入種が増えている現状に懸念を示した。