復帰運動で朗読劇

今回奄美に来島したゼミ生らと交流する参加者ら

武蔵大学、ゼミ生ら 住民との意見交換も

『奄美の奇跡「祖国復帰」若者たちの無血革命』の著者で、武蔵大学社会学部メディア社会学科の永田浩三教授のゼミ生らによる奄美復帰運動をテーマにした朗読劇が10日、奄美市名瀬の奄美文化センター会議室であった。復帰運動に関わった人も来場し、学生らが手がけた朗読劇で涙を浮かべる場面も。最後には意見交換もあり、奄美のお年寄りが「ぜひ、若いみなさんがこの事実をこれからも伝えてほしい」と呼びかける姿が見られた。

同ゼミでは今年の春から復帰運動を中心に奄美について学んでおり、今回7~10日の4日間で奄美を訪れ、関係者への聞き取りなどを行った。また、テレビやラジオに出演し、ラジオドラマの収録などにも取り組んだという。

10日に行われた朗読劇では、復帰運動までの8年間がモチーフ。「半年間、必死に知識を身に付け、台本を作成した」という学生たちによるシナリオは、断食や署名活動で復帰運動を行う若者たちにスポットを当てたもの。「日本復帰の歌」が流れたときには、来場者が口ずさむ場面も見られた。

劇の後には来場者と学生らによる意見交換会を実施。実際に復帰運動に関わった参加者からは「当時は日本に帰ろう、私たちは日本人であるという思いで動いていた」という当時を振り返る言葉も。また、「奄美と全然関係ない大学生のみなさんが、こうした劇を作ってくれて感動した」「奄美の歴史は奥が深い。もっともっと学んでくれたらうれしい」と呼びかけた。

永田教授は「私たちはメディアの勉強をしているので、こうして作ったシナリオがきちんとみなさんに伝わっているか、反応や感想をもらうために来島した」と説明。同ゼミのゼミ長を務める大城あずささんは「実際に奄美に来て分かったのは、平和で穏やかな島だけれど、所々にこの復帰に関わる爪痕が残っているところだと感じた。でもみなさん明るく私たちを出迎えてくれた。『自分の子や孫には復帰運動の話はしていない』と話す人もいたが、ぜひ私たち世代の奄美の若い人にも語ってほしい。今回私たちが作ったラジオドラマが、島のみなさんが復帰運動に興味を持つきっかけになってくれたらうれしい」と語った。