秋高校野球

【3回戦・鹿児島水産―徳之島】6回表鹿水産無死一塁、5番・荒田が送りバントをするもエース富岡が好フィールディングで二塁アウト。遊撃手・澤村=県立鴨池

徳之島 逆転勝ちで4回戦へ
奄美は鹿児島に敗れる

秋高校野球第8日
【鹿児島】第139回九州地区高校野球大会鹿児島県予選第8日は29日、鹿児島市の県立鴨池、鴨池市民、両球場で3回戦4試合があった。
奄美勢は徳之島が鹿児島水産に6―2の逆転勝ちで、4回戦進出を決めた。奄美は鹿児島に4―9で敗れた。

第9日は30日、両球場で4回戦4試合がある。奄美勢は大島がシード神村学園と対戦する。

大会結果は次の通り。

=県立鴨池=
◇第1試合
鹿児島水産
000020000-

00001230× 6
徳之島
【鹿】立石、福留―竹下
【徳】富岡、澤村―太良
 ▽二塁打 加(徳)

【評】五回に2点を先制された徳之島はその裏、3番・澤村の左前適時打で1点を返す。六回、9番・富岡、1番・盛の連続適時打で逆転に成功。七回は5番・勇の犠飛、代打・加の左越え二塁打で3点をダメ押した。投げてはエース富岡が八回まで2失点で切り抜け、九回はリリーフした澤村が連続四球を出すも後続を打ち取り、リードを守り切った。

=鴨池市民=
◇第1試合
鹿児島
021001140-

000100030 4
奄美
【鹿】松永―上之薗太
【奄】蔵、傳、豊山―中原
▽二塁打 松永、日高3、上之薗太、上之薗和(鹿)古木2、傳(奄)

【評】3点差を追いかける奄美は四回、先頭の1番・古木が中越え二塁打で出塁。一死三塁として相手のエラーで1点を返した。六回以降、鹿児島打線を食い止められず、点差が開き、八回表の4失点で8点差となる。その裏、2番・傳の左越え二塁打、3番・豊山の左前適時打で3点を返し、コールドは阻止したが、反撃もここまでだった。

エース富岡、攻守で活躍 4回戦進出決める
徳之島

【3回戦・鹿児島水産―徳之島】6回裏徳之島二死一二塁、9番・富岡が同点の左前適時打を放つ=県立鴨池

徳之島はエース富岡賢史の攻守にわたる活躍などで4回戦進出を決めた。

初戦の伊集院戦は初回6失点で降板。「1年生の仁礼に迷惑をかけたので、今度は自分がしっかりする」気持ちでマウンドに上がった。多彩な変化球と角度のある直球、緩急を生かす丁寧な投球を心掛け、八回2失点でゲームを作った。

それでも「出来はあまりよくなかった」と反省する。五回は連続四球でピンチを招き、先制点を与えた。その分、六回裏二死一二塁で迎えた打席では「自分のせいでとられた得点なので、何としても返そうと必死だった」と思い切り振り抜いて同点適時打を放った。

「このぐらいのプレーはできる能力を持っている選手。まだまだ不満」と田村正和監督。富岡の出来もさることながら、持ち味の打線が前半、機能しなかった。先頭打者は打って出塁するのに、2番目の打者がつなげず、残塁の山を築いた。「打力はあるのに得点力がない」(田村監督)悪循環だった。

そんな中で「流れを変えたビッグプレー」(田村監督)が六回の富岡だった。エラーをきっかけに一死一三塁のピンチで、富岡が三塁けん制で三走を刺した。1点ビハインドでこれ以上失点すると終盤の流れも悪く中で、チームを救った好守だった。

「足をゆっくり上げたら、うまく誘い出せた」と富岡。機動力のある初戦の伊集院戦用に練習していたプレーが生きた。二、六回には送りバントの打球を好フィールディングで二塁アウトもとっている。田村監督は「自分たちが機動力を使うチームだから、何をされたら嫌か、分かって練習してきたことを出せたのは良かった」と評していた。
(政純一郎)

意地のコールド阻止 打力向上に手応え
奄美

奄美は鹿児島に「力負け」(下野政幸監督)だった。

エース蔵を中心に少ない失点で競り勝つのが持ち味だが、鹿児島打線を抑えることができなかった。七回まで1―4と3点差で競っていたが、八回4失点で8点差がついた。

八回裏、ここで点が取れなければコールド負けが決まってしまう。

「何とか2点取ろう!」

下野監督が檄を飛ばして二死一二塁と好機を作ると、2番・傳主将が左越え二塁打、3番・豊山が左前2点適時打を放ち、3点を返してコールドを阻止した。

反撃もここまでだったが「初戦も、この試合も終盤で打線がつながったのは想像以上の成長だった」と下野監督。傳幹太主将は「冬場のトレーニングで身体を大きくして、県の上位チームにも負けない守備力と打力をつけたい」と冬場の具体的な目標を語っていた。
(政純一郎)

県大会で初ジャッジ 「心のジャッジ」で球児支える
沖永良部の前田さん、宮當さん



秋高校野球雑観(※写真は「審判・宮當」「審判・前田」)

県審判協会沖永良部支部の前田純也さん(40)=写真上=と宮當和重さん(39)=写真下=の2人が初めて県大会の審判を経験した。

島の野球のレベルアップのために審判の質も向上させようと、今年2月に与論の3人も含めた26人で支部が立ち上がった。支部を代表して前田さんと宮當さんの2人が27日から30日の4日間、県大会に派遣された。2人は沖永良部高野球部の先輩、後輩の間柄。「島の子供たちが頑張っている場所に、自分も立てた喜びをかみしめた」(前田さん)。

この日は県立球場の2試合で塁審をした宮當さんは「3回戦になってレベルも上がり、競ったプレーが多くてジャッジも難しかった」と感想。ジャッジ以外でも、審判同士のフォーメーションや確認作業など、試合をコントロールする審判の作業は多岐にわたる。県大会独特の慣れない雰囲気の中で前田さんは「ミスのないよう、気持ちを込めたジャッジを心掛けた」。

宮當さんは大島地区審判の三原裕樹さんの言葉を自身の身上に掲げる。「中高生の最後の大会が『審判のせいで負けた』と言われないようミスのないジャッジを心掛ける」。初めての県大会は反省と学びの繰り返しだったが「いつの日か、夏の県大会決勝でジャッジできるようになりたい」と向上心を燃やしていた。
(政純一郎)