崎原小中学校体育館で開かれた、産廃処分場建設阻止11・6総決起大会
奄美市名瀬崎原の田雲川上流の山林で、民間業者が産業廃棄物の安定型埋め立て処分場の建設を計画し、同町内会の住民らが強く反対している問題で、古見方地区産業廃棄物対策協議会(会長・瀧田龍也崎原町内会長)は6日、「産廃処分場建設阻止11・6総決起大会」を崎原小中学校体育館で開いた。同地区を中心に大勢の市民が集まり、「計画に断固反対し、崎原の美しい自然を守ろう」と産廃処分場建設の阻止へ気勢をあげた。
午後2時から開始。はじめに瀧田会長が「崎原地区は貴重な動植物の生息地。世界自然遺産を目前に世間では自然保護に関心が高まっている。私たちの暮らしを守り、奄美の貴重な自然を後世に引き継ぐためにも産廃処分場は絶対につくらせてはいけない」と主張。「崎原だけでなく奄美大島全体の問題として共有し、反対の機運を盛り上げていってほしい」と参加者へ訴えた。
続いて出席した市議や住民代表らが激励あいさつ。このうち崎原小中学校の保護者を代表してマイクを握った上野伸二さん(51)は「建設予定地は崎原町内会の水源地のすぐ近くで、産廃処分場の影響は学校にとっても重要な問題。学校のプールの水も給食の水も飲料水も全てこの水源地から引っ張っている。(処分場建設で)水が汚染されることは断じて許されない」などと声を張り上げた。
その後、「農業のまち古見方地区の自然と暮らしを守るため、産廃処分場建設に断固反対し、建設を阻止する」などの大会アピール文を採択。最後は頑張ろう三唱で、反対運動の機運拡大に向け、気勢をあげた。
同産廃処分場建設計画は、1999年に鹿児島県が㈱三宝開発(指宿健一郎社長)に対し出した廃棄物処理法に基づく施設設置許可等に基づき、行おうとしているもの。計画によると、埋立地面積は4万2650平方㍍、埋立容量は39万7140立方㍍。受け入れる廃棄物の種類は廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず、がれき類など。
施設設置許可が出された当時も住民の猛反対にあい、計画は10年余り頓挫していたが、先月になって業者側が工事着工に向けて、崎原町内会で住民説明会を実施。問題の再燃を受け、住民側は町内会の総意として計画への反対意思を業者へ伝えるとともに、先月27日に県庁を訪れ、着工を強行しないよう業者側へ指導することなど県へ要望していた。
同日の決起大会には10数年前も住民側の代理弁護士として、この問題に当たった高橋謙一弁護士も出席。取材に対し高橋弁護士は「今後、仮に住民側からの質問に十分な回答もなく意に反し、工事を強行するようなことがあれば建設禁止の仮処分請求を速やかに行う」と述べた。
10月の説明会において業者側は、建設計画地は三宝開発の所有地と説明していたが、住民が登記を確認したところ、実際には今年6月の時点で県外の産廃業者へと所有権が移っていたことが発覚。こうしたことを受け、住民側は業者へ再度の説明会開催を要望しているほか、反対署名運動も展開している。