奄振交付金満額確保を

亀澤玲治環境省自然環境局局長に要望書を手渡す、伊集院幼奄美群島市町村長会会長ら

関係省庁要望活動 国立公園指定・世界遺産登録も
市町村長会伊集院会長「手応えあった」

【東京】国の2017年度予算編成を前に、奄美群島市町村長会(会長・伊集院幼大和村長)、同市町村議会議長会(会長・安和弘瀬戸内町議会議長)は17日、奄美群島振興開発の推進に関する要望活動を関係省庁に行った。群島成長戦略ビジョンを実現するため、奄振交付金については概算要求額24億円の満額確保を求めた。

2班に分かれて実施。保岡興治、金子万寿夫両衆院議員への要望内容説明も行われた。各省庁への要望項目は、▽奄美群島の自立的発展に向けた振興開発の推進▽TPP(環太平洋パートナーシップ)協定への適切な対応▽重要病害虫ミカンコミバエ種群防除へ向けての適切対応▽独立行政法人奄美群島振興開発基金の充実▽地理的不利性に起因する不利性解消等―を掲げている。

このうち交付金については、国立公園指定および世界自然遺産登録の効果を最大限発揮するためにも必要性を強調。概算要求額では交付金による農業(奄美ブランド化、6次産業化など)、観光/自然(南西諸島間連携交流、知名度向上、ガイド等の育成・強化、世界自然遺産の保全・活用など)、情報(情報通信環境整備、情報通信産業拠点整備など)、文化(伝統文化の継承・活用)、定住(人材の確保、安全・安心な定住環境)―各分野の取り組みの方向性や内容を示している。この実現へ要望活動では交付金満額確保に対する理解を図った。

国立公園指定および奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島世界自然遺産登録に関しては、①遺産登録の前提となる国立公園指定等の保護担保措置を早期に講じるとともに、環境省直轄事業となるビジターセンターなどの施設整備計画等について、地元市町村へのきめ細かな情報提供②18年夏の世界自然遺産登録を目指し、必要な取り組みを講じる③世界自然遺産としての価値の維持を図るための希少野生生物保護対策やノネコ・マングース等の外来生物対策を講じる④奄美群島自然共生プランに基づく取り組みに対し積極的に支援⑤奄美群島における公共事業において、積極的に環境配慮型工法導入―を求めた。

農林水産省にはミカンコミバエ種群防除へ向けて適切な対応を要望。根絶後も引き続き再侵入防止に向けた対策に要する人員体制や予算の確保、初動対応の検証など必要な措置の実施を求めるとともに、▽風評被害による奄美農産物の価格下落等が生じないよう支援策▽今後、再侵入が確認された場合には、地元自治体と連携し、きめ細やかな住民への情報提供―を要請した。

要望活動を終えて伊集院会長は「夏の活動と同じではあったが、大きく変わったのは(奄美大島・徳之島の)国立公園への動きが本格化し、奄美・琉球世界自然遺産登録に向けた動きが出てきたこと。地元での受け入れ態勢について構築していきたい」と話し、奄振関係については「来年度の予算編成は厳しい中、離島の厳しい状況を知ってもらい、特に奄振交付金の満額確保に向けて臨んだが、今回の要請は地元選出国会議員の先生方のおかげもあり手応えがあった」と語った。