奄美大島南部リーフチェック

奄美大島南部で行われたリーフチェック(提供写真)

生サンゴ被度
10㍍測線では微増

瀬戸内町海を守る会(須崎まさこ会長)はこのほど、2016年の奄美大島南部リーフチェックの結果をまとめた。今夏は高海水温の影響で、大島海峡内の浅所や外洋に面する礁池内でサンゴの白化現象が発生。生サンゴ被度(サンゴが海面を覆っている割合)は5㍍測線が45%で前年とほぼ変わらず、10㍍測線は36・9%と微増した。

同会では2001年から毎年、同町安脚場沖でリーフチェックを実施。奄美大島南周辺海域では01年から05年にかけてオニヒトデが大量発生し、サンゴが壊滅的なダメージを受けたものの、同調査地点は02年6月にサンゴ保全海域に認定されたことから、継続してオニヒトデを駆除。サンゴ群落が保全されて優れた海中景観が保たれている。調査は水深5㍍と水深10㍍地点それぞれ100㍍の測線を設定し、測線におけるサンゴの被度や魚類指標種の数、無脊椎生物の数など指定された項目を潜水調査した。

今夏、各地で発生した白化現象については、調査地では、樹枝状ミドリイシ属や葉状センベイサンゴ属、塊状ハマサンゴ、被覆状コモンサンゴ属およびキククメイシ属の群体に白化が見られ、白化率は約10%。一方で、白化による死滅群体はほとんどみられず、白化群体は今後回復が見込まれるという。

水深5㍍測線では、生サンゴ被度は45%で前年より0・6%減少。白化群体が散見したものの、死滅群体はほとんどなく、新規加入のサンゴが少ない状態が続いている状況。魚類出現数は、チョウチョウウオ類、ブダイ類が増加、無脊椎生物はシャコ貝類が増加した。水深10㍍測線では、生サンゴ被度が36・9%と前年より3・1%増加。魚類ではチョウチョウウオ類、ブダイ類とも出現数は増加し、無脊椎生物はシャコ貝類が減少した。

同会では「懸念された白化による影響も軽微。大型ミドリイシ群体も生存しており、幼生の供給源、観光資源としても重要。16年間サンゴが壊滅することなく保全され続けてきたことは、サンゴ礁保全の成功例ともいえる」としている。