16年クロウサギ死亡件数

前年比9件減の59件
徳之島では交通事故過去最多に
分布拡大、運転注意を

 環境省奄美野生生物保護センターは16日、2016年に死体で発見されたアマミノクロウサギ件数を公表した。奄美大島では45件(前年比14件減)、徳之島は14件(同5件増)の計59件(同9件減)。「交通事故」に関し、奄美大島ではこれまで生息が確認されてない地点でも確認されたほか、徳之島の8件は00年の統計以降、過去最多となった。クロウサギの分布拡大が要因とみられ、同センターはドライバーに対する運転の注意を喚起している。

 奄美大島の死亡要因は「交通事故」17件、「不明・その他」28件。同島では11月に3件、12月は6件と交通事故が目立ち、これまでアマミノクロウサギが生息しなかった場所でも事故が発生した。同センターは「マングースの防除が進んだことでクロウサギの数が回復していると思われ、これまで見られなかった場所での出現や交通事故が懸念される」としている。

 一方、徳之島の死亡要因内訳は「交通事故」8件、「不明・その他」6件。交通事故件数が過去最多となった要因について同センターは「ネコ対策が進んでいることがクロウサギの分布拡大の要因の一つと考えられ、それに伴い事故が増加していると思われる」と分析した。

 クロウサギの繁殖時期である春と秋は、行動も活発になることから、交通事故も増加する傾向にあるほか、夏休みや大型連休など交通量が増える時期も注意が必要となる。また夜行性のため、クロウサギが行動する夕方から明け方にかけて、出没に注意した運転を呼びかけている。

 同年の死亡個体のうち、ノイヌ・ノネコによる捕食被害で死亡したと断定される個体はなかったが、同センターは「状態が悪く判別できなかったものや人目に付かず山中で被害に遭い、命を落としている可能性がある」と言及。トゲネズミとケナガネズミではノイヌ・ノネコ被害とみられる死亡個体がそれぞれ13件、5件確認されていることから、「これらの被害を減らすためには、ネコを適正に飼育することが求められる」としている。

 クロウサギなどの希少野生動物がケガや死亡しているのを発見した場合や事故を起こした場合は、同センター(TEL0997・55・8620)への連絡を要請している。