自然遺産候補地保全・活用、徳之島部会

世界自然遺産候補地保全・活用検討会の第2回徳之島自然利用部会=23日、天城町役場

徳之島町「山クビリ線」
民有地混在で「ゲート施錠」は困難

【徳之島】奄美群島世界自然遺産候補地保全・活用検討会(県主催)の徳之島自然利用および森林・公共事業両部会が23日、天城町役場であった。関係団体は、奄美自然遺産トレイル(仮称)コースの看板設置に先立った対象集落への事前説明と、環境配慮に積極的姿勢の建設業協会への説明会も要望。ナイトツアーなど主要地域の徳之島町「山クビリ線」へのゲート施錠は、混在する民有林利用の観点から難しいとした。

県自然保護課や環境省、3町行政、観光連盟、自然保護の民間団体代表らが出席。自然利用部会で県側は、2016年度選定トレイル(奄美市住用町・伊仙町・沖永良部)の各ルート開通(夏以降)の取り組み方針などを説明した。自然保護団体の関係者は看板案に対し「集落内を通るとなると、事前の説明会や座談会も必要。突然看板が立って人が通るとトラブルの原因にも」と懸念。地主など住民コンセンサスを得る必要性も強調。

ほか、コース内の「ハブ出没」の注意喚起のほか、利用の適正化に関しては沿線にも「希少植物が多い。エコツアーガイドとの連携・発展を」とも要望。県側は認定ガイドを含めた取り組みに期待を寄せた。

次ぐ森林・公共事業部会では、遺産候補区域の緩衝機能や自然環境に配慮した公共事業の指針などを解説。アマミノクロウサギの農作物食害に関する農家アンケート調査(JA依頼)ではサトウキビの新芽など35件の報告が。農業と希少種の共存対策の「フェンス」設置希望に、自然保護団体の代表からは「移動を阻止するのは良くない」との指摘も。

自然遺産を見据えた公共事業の環境配慮には、登録予定地以外でも「(島内は)希少種が群生しており配慮が必要」との強調も。県側は各島内で人選・配置方針のアドバイザーの意見を聴く方針を示した。

同島建設業協会に関しては「全面的に協力したいと(自然保護対策の)情報を欲している。早めに研修会の実施を」との要望も。県の環境配慮指針(案)は、新年度から各市町村の公共事業にも適用予定という。