徳之島で第1回ネコシンポ

ネコ問題とクロウサギ、世界自然遺産を考えた第1回ネコシンポ=26日、天城町防災センター

ネコ適正飼養 県条例整備も必要
外来ネコ問題研
「従来の対策では限界」

【徳之島】外来ネコ問題研究会(山田文雄会長)主催のシンポジウム「奄美の自然と〝島んちゅ〟の未来!! みんなで考えよう! ネコ問題とクロウサギ、そして自然遺産のこと!!」(全5回)の第1回が「徳之島の現状と課題、そしてその展望」をテーマに26日、天城町防災センターであった。専門家らのリレー講演でノネコによる希少種被害の実態、ネコ適正飼養への意識改革、県条例化含む広域的法整備の必要性など、世界自然遺産候補地の課題を考えた。

一般住民や自然保護団体の関係者ら約75人が参加。山田会長(森林総合研究所)は趣旨説明で、生物多様性や生態系保全への認識が広がる中で、愛玩動物由来のノネコ対策が進まない背景に、①人間社会内の意見の違いや対立②ノネコの影響の情報不足③人間側の理解や合意形成不足④条例や法整備など社会制度の不備―も提起。「克服する工夫が必要な時期。問題解決には現状をよく知ること。従来の対策では限界がある」とも前置きした。

講演は、▽奄美野生動物研究所の塩野崎和美氏が「徳之島におけるノネコによる希少種被害の現状」▽NPO法人どうぶつたちの病院(沖縄)の長嶺隆理事長が「ネコ問題、どうしたら解決できる?~間違った飼育はネコを不幸にする」▽神奈川大学法学部の諸坂佐利准教授が「徳之島が世界自然遺産登録を果たすために克服しなければならない3つの課題」をテーマにそれぞれ報告した。

塩野崎氏は、ノネコによる食害(食性)はクロウサギなどにとどまらず、節足動物を筆頭に鳥類、トクノシマトゲネズミやケナガネズミにも及び、「ノネコにとって山は餌が豊富。〝優秀なハンター〟を排除し、増やさないことが大事」。

ヤンバルクイナやイリオモテヤマネコなどの保全、救護、死因究明・疾病管理などにも取り組む長嶺氏は、ネコの室内飼育が事故や感染症を回避して長命につながること。ノネコ排除の取り組みやネコ飼養条例など先進地の取り組みも例示。ネコ対策の5つの原則に①捕獲排除②増やさない(繁殖制限)③遺棄防止④ネコ条例施行⑤捕獲ネコの出口(譲渡など)の検討も挙げた。

諸坂氏は、徳之島が世界自然遺産登録のため克服しなければならない「3つの課題」と3町の現行ネコ条例の改正の方向性・改正ポイントに、①屋外ネコ(ノネコ・ノラネコ・放し飼いのネコ)対策②飼いネコ適正飼養と農業対策③実効性(実現可能と持続可能性)のある制度設計と制度運営。「世界遺産登録と目指す制度設計、登録後に危機遺産にならないための制度設計の双方が同時並行的に模索されなければならない」とも強調した。

次ぐパネルディスカッションでは、ネコ条例の整備・改正に関し、市町村内にとどまらない「県条例化も必要」。ドイツなどと同様に「ネコの飼養資格・登録制度もやるべき」(諸坂氏)などアドバイスもあった。

第2回シンポは28午後6時半(開場6時)から奄美市(AiAiひろば2階)である。